working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

酒飲み達の哀歌

皆様こんにちは。昨日自宅でちょっとした宴がありまして、私の所属する企業グループからまたひとり優秀な人材がやめていくことになりましたので、その追い出し会としてワインを開けました。

泡の姫と名付けたい味わい

酒飲みなら大体知ってるポメリー、フランスのシャンパンです。これは私のお誕生日にいただいた、私のワインまとめ買いでは到底手の届かない価格帯の代物です。参加者全員がまだしらふで味がわかる1本目にいたしました。SPY×FAMILY見ながら、ウルトラアメイジングエレガント言いながら飲みました。ありがとうございました。

ビンに残った澱が味わい深い

次はアメリカ・カリフォルニア、アレクザンダー・バレーの味わい深いカヴェルネ・ソーヴィニヨンのコッポラでした。地獄の黙示録バージョンラベルの、これまた貴重な代物です。

アポカリプスナウ FINAL CUT チョーかっこよくね

コッポラはご承知の通り映画監督のフランシス・フォード・コッポラです。3年前に私が当時の職場から異動するにあたって、職場の若い衆から授かった1本でした。これをくれた有志メンバーの一人が今回やめていくので、開けるのは今しかないと思いました。美味しかったですね。ワインはその名の通り、みんなでワイワイ飲むから美味しいのです。

試飲できて買える阪神は偉い

3本目と4本目は阪神百貨店で3日前に調達してきたイタリア産のシャルドネ(左)とシラーです。めちゃくちゃ高いわけでもないのにシャルドネは2,000円を超えると皆一様に高貴かつ華やかな味わいです。値段が上がるとノーブルな味わいがさらに上がると申しますか、ワインの底知れぬ味のバリエーションに慄くばかりです。

シラーは昔読んだ入門書に「灰のような味」と言っておけば通だねって思われると書いてありましたが、私灰なんか舐めたことも食べたこともないのでわかりません。ただシラーを飲んでみてわかるのは、口当たりが滑らかで、最初は味がよくわからないんですね。この滑らかな感じを表現しようとして灰なのか、私なら墨っていうけどなと思ったのは置いといて、開栓からしばらくするとほんのり味が濃くなります。ワイン注いでからグラスをくるくる振り回してるおっさんはカッコつけてるわけではなく、空気に触れさせて味を開かせてるのです。一応知ったかなことを書いておくと、シラーとシラーズは同じぶどうの品種ですが、旧世界(おおざっぱに、ヨーロッパ)と新世界(おおざっぱに、ヨーロッパ以外)の産地によって味わいが全く異なります。南アフリカ共和国産のナンバーワンシラーズはパチパチするほどの味の濃さがあります。

 

あと2本空いてるんですけど今回の記事の目的はワインの蘊蓄語りではないのでこの辺にして、20年以上前から若者のお酒離れとかなんとか言われ始めて、近年は「飲酒はタイムパフォーマンスが悪い」とかいう訳のわからない理屈が出てきました。それでお酒を敬遠する若い子が増えて、酒類販売業界はあれやこれやの手を考えてお酒需要の喚起を狙ってるわけですけれど、根本的な問題はお酒の効用や時間効率以外の2点にあると思ってます。

 

①一緒に飲む人がつまらない。
②出される酒がまずい。

 

①はおっさんたちが猛省すべき問題です。飲んでメチャクチャになってそこから面白い人を何人か知っていますが、その逆の人はいちいち覚えていられないくらいいます。仕事の説教するなんてのは論外です。お酒は何を飲むかより、誰と飲むかに圧倒的に影響されます。面白くあれとは言いませんが、酔っ払っても人が嫌がらない行動を心掛けねばなりません。ただ、この人と時間を過ごすのはつまんないなと思われてしまうと、手の打ちようがありません。おっさんたちはそれをしっかり意識して、自分の話術やコミュニケーション能力に自信がないなら、お酒と肴がちゃんと美味しいところへ連れて行ってあげるべきなのです。そこで今までに食べたり飲んだりしたことのない体験ができれば、その人は必ずその経験を覚えてくれます。

②は①の裏返しで、少々酒がまずくても面白い人と飲んでいれば楽しかったのに、そういう人が減ったために露呈してしまった問題です。例えばビールの場合。樽からサーバー通して注ぐだけなのに、信頼できない居酒屋はサーバーの手入れを怠って妙にカビ臭かったり、もっとひどいところになると加水してたりしますよね。こんな初歩的な問題は連れて行こうとする人が最初に気づくべきなのに、要するにリサーチ不足なのです。グルメサイトの悪影響で、経験知が少ないから起こるのです。生ジョッキを提供する店で、たまにビンしか飲まないおっさんに遭遇することがあります。あれは店の生ジョッキサーバーを信用していないからです。

 

ただ、最近のお酒を提供する飲食店は美味い酒を出せていない場合がほとんどです。ビール、日本酒まではね、仕入れコストが割とお安めなので「普通の店」であれば変な手の抜き方はしないし、どこに行っても大体同じ味になるはずなのに(日本酒バーの看板を掲げてるところはもっとレベルの高いところにいると思いますけど、思いたいですけど、どうかなぁ)、「普通の店」が少ない。店の半分は客をなめてると言っていいと思います。味がわからない客筋をわざと集めてる店もたくさんありますけどね。

ワインになると尚更です。ワインの味は価格に如実に反映されます。安くて美味しいものはそれなりにありますが、ワインを出す店の9割(筆者の主観であり正確な統計などは存在しませんのでご容赦ください)はその水準にも到達しない安酒をありがたそうに持ってきて、法外な金額を請求します。それは、男が女を連れてきて、大枚はたいてもてなす行為にこそ意味がある場合がほとんどで、味そのものに意味など存在しない客がたくさんいるからです。美味しいワインを飲むことより、高いワインを飲ませてそのあとラブホで猛ることにしか関心がない、女どころか店に、足元どころか下心を見透かされているのです。だからいつまで経ってもワインの地位がキザ野郎の女落とし道具から脱却できねぇんだよこの国はよぉ‼︎

 

……私が外で安心してワインを飲める店は大阪で2軒しかありません。そこも決してお安くはないですが、ちゃんとしたワインが飲めます。そして例外なく会社の何人かは、クソアニメオタクのくせにワイン飲むなんて生意気とか抜かしよります。アニメもワインもわからんアホなのでほっとくのが一番ですが。

いつまでもこんな傾向が続くと、酒類販売業界は先行き見通しが暗いですよね。一時期、キリンシティで一番搾りが変なシャーベットになって出てきた時は悲しかったですよ。こんなんでビール需要喚起になんのかと思いましたけど、あれはもう,若者の興味関心を引くためなら何でもやるという決意であり、窮余の策だったんですね。

 

今や低アルコールビールなんてものも出てきて、いやいや、ビールはそういうもんじゃねーだろ、たくさん飲んで酔っ払ってたくさん寝て体力回復させるもんだろと思うんですけど、トレンドには勝てない。

 

お酒なんて飲まないよ、時間と人生勿体無いよって人に読んでほしいとの思いが強すぎて、軽くレポート並みの文章量になってしまいました。お酒は人生の友。私も23くらいまでお酒の味がわからなかったけど、連日日付が変わる頃に帰宅して飲むビールの味は格別だったよ。量を誤らず、友人達と楽しく飲んで時間を過ごせたら、圧倒的なタイムパフォーマンス向上になると思うんですけどね。