working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

新年最初の映画を見て思ったこと

SEOも何もしてないのに毎度のお運びありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

9連休を堪能して労働を根本的に厭う習慣が身についたgentlyは、お正月を過ぎると映画が見たくなります。ちょうど去年も、全然興味ないのに「ドラゴンボール超 ブロリー」4DXバージョンを会社の若い衆に誘われるがまま一緒に見てきました。私のドラゴンボールの知識は

 

・7つ玉を集めると龍が出てくる

・なんでも一つ願いを叶えてくれる

・その代わりに戦いの運命を強いられる

・力を失うと魔女化する

・あと、ヤムチャは弱い

 

この程度でも理解、というか理解を必要としない映画でした。キャラ名を連呼するだけの歌なのに私ごときが「おおぉ、超カッコいい……」てなるのは娯楽として一級品です。

 

そして今年。

 

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周辺のみんながすんすんしてた


 

メイドインアビス 深き魂の黎明」。2017年のテレビ放送第1期、劇場版総集編(前・後編)を経て、おととい封切られた完全新作です。映画のネタバレに類することは書きませんのでご安心ください。

 

それにしても、みんなナナチ大好きよね。私も大好きだ。ぬいぐるみ出たら何円でも買う。

テレビ第1期の終盤は不惑の涙腺が枯渇するくらい心揺さぶられ、彼女の未来に幸多からんことを心から祈ったものです。映画を見るとその気持ちがより深まると思います。パンフ表紙の構図も完全に主役です。私は顔を思い出すだけで声が詰まります。

 

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マルルクちゃんは男の子でしょう

1週目の来場者特典は卓上カレンダーでした。うん。かわいい。でもお話はグロい。年末にレーティングが12歳以上→15歳以上に変更されたのもやむを得ません。「1週目」ということはしばらくの間、週替わりで何かもらえるのでしょう。

 

ところで脚本の倉田英之さんを認知した最初の作品は「かんなぎ」(2008年)でした。

 

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山本寛さんが監督の域に達した作品としても有名

 

倉田さんが脚本を担当すると、お話に変なリズムが出来て、間合いで笑わせる落語のような空気が生まれるのです。その成否は作品によると言うより、倉田さんがどれくらい積極的にその仕事を望んだかによると私は勝手に思ってます。その後アニメの師匠に勧められるがまま、

 

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神社妹の家出話が一番好きです

かみちゅ!」(2005年)、

 

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三浦理恵子さんの演技がとてもいい

R.O.D THE TV」(2003年)

 

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想像の斜め上をいくスポ根もの

バトルアスリーテス大運動会」(1997年)

 

 

を見て、原作の「R.O.D」も少し前に休筆明けした新刊を除いて全部読んで(五鎮姉妹とおばあちゃんあたりから結構グダグダになってた気がしますが、どうなったんでしょうね)、エッセイ「倉本」も読んでなんだこれただのにわか倉田ファンじゃねーか。これ以外にも氏の脚本アニメはいくつか見ており、上記が大体のマイルストーンだろうと思います。あと、いい作品だと思ったらちゃんとお金を落としましょう。そして吹聴自慢しまくりましょう。

 

ただねぇ。私自身がアニメを見るのに疲れ始めた時期と「メイドインアビス」の放送時期(2017年7月〜9月だったと思う)が被っちゃったんですよ。なので本放送時は見ておりません。近所のバーでサメとゾンビが好きな常連さんから

 

「えっ、gentlyさんあれ見てないんですか!?いやー意外だな、あんな邪悪な話絶対好きだろうと思ってたのに」

 

言われ、EPGザッピング時に「テイルズオブジアビス」と勘違いしてたことを思い出して赤面したものです。この先「テイルズ」シリーズが好きな方には申し訳ないことを書くのですけど、RPGをアニメにした作品群の中で古谷徹さん主演の「ドラゴンクエスト」を超えるものは未だ現れず、そして今秋始まるリメイク版「ダイの大冒険」にしか希望はないと思ってます。ひとつだけ「テイルズ」シリーズの見どころを挙げるとすれば根谷美智子さんのお嬢様演技です。あの高慢な高貴さは根谷さんにしか出せません。近いところで矢島晶子さんと日笠陽子さんがいますが、お二方とも高貴さより匂い立つほど色気が強い……それもええんやけどなグヘヘ。

 

で、Playstation Storeで「メイドインアビス」レンタルパックを購入して視聴したのが去年です。母が待っていると信じて地の底を目指して大穴を探検する少女と、その大穴からやってきた機械仕掛けの少年のボーイミーツガール、富田美憂さんの天真爛漫な少女、伊瀬茉莉也さんの恥ずかしがりでも決めるときは決める少年、そして悲しすぎる過去を背負ったウサギ耳の少女ナナチと、一回聞いたら忘れない井澤詩織さんののびーっとした声と演技。

 

可愛らしい絵柄に似合わず、旅や冒険が常に死と隣り合わせという強力なリアリティ設定に、大穴から上に向かおうとすると心身に強烈な負荷をかける「上昇負荷」という悪魔的な概念。なんだ。なんだこれは。好きなものだらけじゃないか。危うく人生の見えない損失を記録してしまうところだった。ありがとうサメとゾンビ好きな常連さん。つくしあきひとさんの原作も持っていますが、アニメの展開を追った後に腰を据えて拝読する予定です。

 

穴の底、天の上、あまり望ましくないのであろう何かがあるとわかっていながらその果てに向かって進み続ける「メイドインアビス」や「少女終末旅行」を見てしまう私たちが求めているものは一体なんだろうと考えてみた私の結論は、一生懸命です。文字通り、命をかけられるほどの価値がある何かに挑む姿を見たいのでしょう。それは時と場が違えば私自身だったかもしれない境遇であり、しかして自分にそこまでの尊い感情が生まれるか、たとえ望んだとしてもあそこまで頑張れるか、その疑いを少しでも自信に変えていけるように、これらの作品から勇気をもらっているのだろうと思います。

 

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最終盤のケッテンクラート、ぜひアニメ化を

年齢とともに作品を見る視野が狭まっている自覚を伴いながらこれだけ作品世界に深入りしたのは久しぶりなので、gentlyの言うことなら信用してもいいよという奇特な読者様にお勧めします。