working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

小野と宇野

晴れ時々たかじんならぬ在宅時々出社のgentlyです。私の家は水害になると武蔵小杉並みにケチョンケチョンのギットンギットンに言われるかもしれない高所にあり、ふもとには飲食店が犇めきあっています。

 

新型コロナウィルスの渦中(この場合は禍中が正しいのかな)にあって、普段なら無知なのか策略なのか声かけられて集まってくる女の子を酔いつぶしたあと奇声を発しながらそのへんの御休憩に連れ込んでパンパンすることしか頭にない単細胞パリピ野郎どもが雨後のタケノコばりに地べたから生えてきとんのちゃうかと思うくらい湧いて出てくるのに、先週土曜の夜9時には軒並み明かりが消えてました。街が死んでます。生殖を望まない性行為という矛盾をはらんだ行動でしか存在理由を示せない黄色い猿どもとはいえ、突然いなくなると寂しいものです。

 

毒を吐き終えたところで電源のいらないゲームの話シリーズを始めます。記念すべき第1回は誰もが知っているメジャーなあいつと、その影で表舞台から姿を消したあいつの話です(前回の「MONSTER MAKER モンスターメーカー」は第0回にしといてください)。カードゲームやボードゲームへの関心の落差は人によってめちゃくちゃ大きくて、何をどこまで知っていれば詳しい部類に入るのかよく分かっておりませんので、万万が一ホンモノの方にこんな場末のブログまでお運びいただく機会がありましたら、コメント欄にそっと一言頂戴できれば幸甚です。

 

人並みにトランプと「UNO」と将棋とオセロをたしなむ程度だった私に微妙な変化が生じたのは、メジャーではないカードゲームを買い始めてからです。

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ぼちぼち付喪神になりそうな貫禄

「O'NO 99」を手に入れたのは小学校高学年の頃だったと思います。当時、私のゲーム相手は妹か親父か近所の友達(普段から遊ぶ友達は一人で、ことファミコンになると悪童どもがうちにやってきて、彼らの誰かが持ってきた本体をうちの大きいブラウン管テレビにつないで、私はただその様子を眺めるという、よくわからない集会になってました)で、なにぶん平均知能指数の低い純朴な土地柄だったためか、人を陥れるとか騙すとか誤認させるとか考えさせるとか、知謀を張り巡らせるタイプのゲームに必要な悪知恵を働かすことが非常に苦手な人たちでしたただし親父を除く

 

そんな相手に勝っても何の面白みもないどころか、退屈すぎて罪悪感すら芽生えてくるというものです。なので、基本的に運任せではあるけれど、ちょっと知恵を働かせればなんとなく危険を回避できる、しかし技術ばかりでは勝てない、したがって禍根を残さない、かつテンポのいいゲームが「O'NO 99」でした。

 

開始時に配られる4枚の手札(この4枚がポイントです。後述します)の中から、数字が書かれた札を順番に場に出し、足し算を繰り返すことで自分の手番で場の数字を99以上にすると負けという単純なルールです。数札は2〜9が3枚ずつ、10が10枚、字札はマイナス10(場の数字から10を引く)4枚、ホールド(パス)4枚、リバース(逆順回り)6枚、ダブルプレイ(次の手番の人が2枚出す)2枚、99カード(手元に持っている時点で出せないカード)4枚があり、お分かりのとおり1ターンの序盤は大きい数字で場が形成され、終盤に近付くと小刻みになり、最終局面では字札の有無と活用がキーになります。字札の枚数をカウンティングできると多少は有利になりますが、補充で字札を引かないことにはどうしようもないので、やはり運が勝敗を左右します。

 

さらに、手札を出したあと山札からの補充を忘れるとペナルティとなり、相手より手札が少ない状態でゲームを続けなければなりません。4枚で戦うべきところが3枚になると非常に厳しくなります。「UNO」を日常的にプレイする人はカードを減らすことに気が向いてこの補充を忘れることがままあり、次のプレイヤーが即座に手札を出して前プレイヤーの手番を終了させる(補充させない)のがゲームの生命線であると個人的に思っているのですが、言及している記事はありませんでした。おかしいな。みんな「忘れてるよ」とか言ってくれるんだろうか。私の周囲でそんな思いやりは皆無だった。

 

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そろそろ新しくしたい気もする

紙のカードを使い込んで、本の小口にあたる部分をカードでは何と呼ぶのか知りませんが、こんな色になってます。もともと白かったはずなんですけどね。アメリカで作られたゲームを当時のトミーが輸入販売し、おそらく今は世界的に製造販売が終了しています。密林の糞転売屋に天誅あれ。

 

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シンプルイズビューティフル

みんなが知っている最近の「UNO」は原色の赤が基調のマテル社のパッケージ(フックで吊り下げる穴までついてしまってカードゲームの王たる風格が消えてしまった)が主流で、臙脂色のコンパクトなパッケージに「楽しい興奮…"UNO"(ウノ)」と書かれた渋いデザインを知っている人は同世代以上ほぼ確定です。

 

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この書体と文章、時代のセンスです

余談ですが当時の「UNO」にはヨーロピアンスタイルというのもあって、薄紫のパッケージにシックなカードデザインが印象的でした。ワイルドドロー4は白い手に4色の札を持ったデザインでね。食らっても大して腹は立たなかった。すいません嘘つきました。

 

「UNO」は日本各地に伝播したおかげで土地によって独特のルールが形成され、おそらく公式ルールが最も軽んじられているゲームと思われます。

 

同数同色あるいは同数異色でも複数枚の重ね切りが可能だったり、ワイルドを出したプレイヤーの後に続けてワイルドを出せたり、ドロー2やワイルドドロー4に同色でも異色でもカードを重ねてペナルティを累積させる返し技を認めたり(これが一番ひどい)、果ては字札上がりも容認される(これはどうかな、公式もOKだったかな、忘れた)奔放な遊び方のせいでつまんなくなってしまった経験をお持ちの方が多数おられることでしょう。

 

そういうことをやり始めるとゲームバランスが崩壊してしまって、考案者が本来提供したかった面白さが伝わりませんので、一度公式ルールに立ち返って遊んでみるのがよいでしょう。

 

まず、添付の解説書をちゃんと読んでみることが重要です。きっと今まで知らなかったことが書いてあるに違いありません。私もこれまで一度も公式ルールで遊んだことないです。解説書読んだことあるかも怪しいレベル。解説書を読むまでもなくなんとなくのルールが存在しているか知っている、それくらいに浸透してるんですね。

 

ルールは同じくらいシンプルなのに、両者の人気差を生んだ要因は何だったのでしょう。「UNO」が先発で「O'NO 99」が後発とはいえ、それだけでは説明できない気がします。以下は私の拙劣な推測です。

 

欧米の家庭では自宅で親子が日常的にテーブルゲームを楽しむ文化があるそうですが、日本の場合大人の嗜むテーブルゲームはさほど根付いておらず、お子たちが中心になってゲームのトレンドを形成してきました。そんなお子たちがカードゲームを遊ぶ場所といえば、もちろん自宅が多いのでしょうけれど、旅行中の電車やバスの中でも手軽に遊べるものが重宝されているように思います。

 

「UNO」は108枚とトランプの倍以上のボリュームがありながらケースがコンパクトで、箱の内部がカードで密になっているため多少の重みがかかっても潰れないことからリュックサックや旅行カバンに入れやすいように出来ています(最近は家から持ち出すことすらすっ飛ばしたのか、先に書いたようにフック用の穴までつきました。駅売店で売りやすい形に進化したのでしょう)。

 

対して「O'NO 99」は54枚と「UNO」の半分なのに箱のサイズは「UNO」と同じで、残り半分のスペースを占めているのがプラスチック製の白いコインです。

 

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こういう小物、好きなんだけどねぇ


30年近いプレイキャリアの中で正しく使ったことは何回あっただろう……これはゲーム開始前に持ち点として各プレイヤーに3枚配り、負けるたびに1枚ずつ返却し、なくなって次以降のプレイで負けると退場というシビアなルールをカウントするための道具なのですが問題は用途ではなく、パッケージにこれを入れたときに箱の片側に重みが集中してコインの入っている側がスカスカになり、この状態で鞄に詰め込むとコイン側のパッケージが圧に耐えきれなくなって潰れます。

 

そしてこのコインにはもともと保存用の袋があったのかどうか記憶が定かではありませんが、ジップ式で無かったことは確かです。箱が潰れるとカバンの中でコインが散逸し、非常に面倒くさいことになります。現に私も何度か潰しているのでメンディングテープで補修して保たせてきましたが、特にパッケージの底部が弱いため何度もカバンの底に落ちたコインを拾った覚えがあります。

 

持ち運びが容易というカードゲームの利点を半分放棄してしまったこと。「O'NO 99」の運命の分かれ道はここだったのでしょう。無念。私は「UNO」より断然好きなんだけどな。

 

以降もだいたいこんな調子で、思い出深いのもそうでもないのも含めたテーブルゲームのお話をします。