working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

焼けるものなら焼いてみろ

仕事もお出かけもマスク着用が何となく義務化され、毎日窮屈で仕方ない皆様こんにちは。黒川さんに負けていられない!ということで最近国士無双十三面待ちで上がりました、gently改め雀tryです。あんな役、漫画以外で見たの初めてです。

 

世の中が集合を自粛している空気の真っ只中、率先垂範して「麻雀はいいんだよ」と、検事長という法律運用の急先鋒にいらっしゃる黒川さんにポジティブな解釈をお示しいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。

批判?とんでもない。健康増進法の強化で卓を囲んでの喫煙すらほぼ禁じられ、それ以前に集まることすら憚られた平民雀士たちに代わり、

非常時に上級国民がたしなむほどの面白さ!集合娯楽の代名詞!朝日産経なかよしこよし!

とご自身の退職金を削ってまでPRしていただいたことにいったい何の問題があるのでしょうか。これで我々は堂々と麻雀集会できるのです。改めて文春砲の威力を思い知らされました。

 

ところで皆様は、残業、好きですか。んなわけないですよね。仕事が終われば(終わってなくても)時間になったら(なってなくても)すぐ帰れるのが一番いいに決まってますよね。

では、私たちが速攻帰宅を決め込んでいる裏側で、職場の誰かに負担がしわ寄せられているとしたらどうでしょう。それって最高じゃないですか。仕事は他人に押し付けるものです。押し付けられて出来なかった奴は単なる無能です。そんな無能はクビにせざるをえません。

 

パン屋さん、私は夢のある職業だと思いますよ。朝早く、夜遅く、おいしさに夢を乗せて届けてくれるパン屋さん。語呂もいいじゃないですか。そんなパン屋さんでブラック企業の真髄を体験できるチキンハート脱落ゲーム、それが「まじかる☆ベーカリー」です。

 

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労務管理問題を想起させるオビ

 

私がパン屋さんに「夢がある」と言うのはネタではありません。「お前は現実を知らなさすぎる」というご批判は後程頂戴します。小学生のはじめごろ、かこさとし先生の「からすのパンやさん」を読みましてね。

www.kaiseisha.co.jp

見開きいっぱいに様々なデザインのパンが描かれているのを見たときに、「パン屋さんとはこんなにヴィヴィッドかつクリエイティブな職業なのか、決められた工程通りにパンを焼くだけではなく、こんな遊び心が許されるのか」と心底感動したのです。

ただ、その夢を全うするには常人離れした体力とスピードと想像力が必要なだけです。夢は誰でも持っていいのです。実現できるのは頑張り屋の中でもごくわずかという辛すぎる現実はともかく。

 

かこ先生は絵本作家として有名ですが、東京大学卒の工学博士という異色のキャリアをお持ちです。研究者の業績は執筆論文と注釈の多寡をもって評価されるものですが、科学的知見を子供にもわかりやすく、極限まで文字を削った絵本で伝えるのは「余人を以て代え難い」お仕事です。

安倍さん森さん、この慣用句はこういう風に使うんですよ?枝野さんが「代わりがいるじゃないか、あれは何だったんだ」真面目な顔で言い放った時は爆笑してしまいました。2018年に他界されるまで多くの業績を遺され、私が心から尊敬する方でもあります。

 

話を戻しましょう。「まじかる☆ベーカリー」にはサイコロの目を都合よく捻じ曲げる夢のような魔法が十数種類あります。ゲーム前半の「仕込みフェーズ」は、ただパン生地を山から引いて、そいつをこねるか、気に入らなければ魔法を一つ選択して一緒に捨てるだけの簡単なお仕事です。

最終的に同僚の皮をかぶった敵プレイヤーたちがこね上げたパン生地が積み上がり、「これが自分に押し付けられたときに全部のパンを焼き上げられるかどうか」の判断に応じて、チップを1枚切って早退するか、さらにパン生地を引くか、胆力とワークアホリック度が同時に測定できる仕様になっています。

 

不幸にもすべての同僚が早退し、残りプレイヤーが1人となった時点で「焼き上げフェーズ」に移行します。自分と同僚たちがこね上げたパン生地を、ひとり工房に残り、まるでパンのような山吹色した3つのサイコロを駆使して焼き上げ条件をクリアしていくのです。私、パン屋さんは朝に焼きたてを提供するものだと思ってたんですが、このパン屋は違うようです。

 

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運命を委ねるパンダイス

こねたパン生地の中には、簡単なものとそうでないものが含まれているかもしれません。同僚が誰かの失敗を願って、難しいパン生地を混ぜて早退する腹づもりならそういうことも起こりうるでしょう。しかしご安心ください。そんな難しいパンを焼き上げるために、先ほどチラッと触れた魔法があるのです。

これさえあればどんな生地でもすみません、たぶんムリです。なぜなら生地を捨てる同僚は一緒に魔法も捨てる、つまり自分が「焼き上げフェーズ」に残る気がない場合、生地とともに便利な魔法から率先して捨てていくからです。

仕事を押し付ける上に道具を破壊して去っていく。ひどいですね、やばいですね。心ある人間の所行とは思えない。

 

それでも全ての生地を焼き上げる(そう、全てです)ことができれば、晴れて「焼き上げフェーズ」をクリアし、焼いたパンの数と難易度に応じてお給金ポイントがもらえます。早退した人はいつまでも貧乏なのです。早退用の1ポイントは常に支給されます。階層の固定化というか、貧乏な家は子孫の代も貧乏というかなんというか。

逆に1つでも焼き上げに失敗するとゲームは終了し、プレイヤーは親方から理不尽なお叱りを受け、2回目のお叱りを受けるとクビになります。先に帰ってしまったプレイヤーに代価を支払ってサイコロを再度振ってもらうという屈辱的な選択肢もあるにはありますが、請け負うプレイヤーは代価をもらっても成功させる義理はありませんので、やりすぎると色々遺恨を残します。

 

購入から1か月余りの間に何度かプレイしてみた感想。勝敗よりも過程を楽しむゲームです。私を取り囲む演技派のプレイヤーたちの中には生地が何か確認することなく仕込み場に置いていくスタイルの猛者もおりますので、正直その場の状態がどうなっているか推測も難しい状態です。

あと、パッケージの女の子はカード類に一切出てきません。可愛い女の子のカードを期待している読者様はこの続編「まじかる☆ベーカリー  私が店長っ!」をお求めください。ゲーム時間は長くなりますが、可愛いバイトと可愛いバイトリーダーにゴミあさりさせるコマンドがあります。その話はまた後日。