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ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

パリピが見た政治資金パーティー

こんばんは。年末年始に向けていい酒を大量に仕入れたgentlyです。ひどい1年を美酒で清めるのです。昨年も、どうせ来年も何なりと理由つけて飲んでますけどね。

 

テレワークが言われ始めたころにこのブログでも取り上げた竹本直一・前IT政策担当大臣が、大阪市内のホテルで会費2万円、80人規模のパーティーを開催したことに批判が集まっています。

 

mainichi.jp

人を集めることに対して言わずもがなの空気があるまさに今、パーティーをやっちゃう政治家のセンスを疑う前に、私が大昔に参加した松谷蒼一郎・元参院議員の資金パーティーについてお話ししましょう。

 

会場のホテルに私を含む5人で向かう途中、直属の上司だった総務部長から

 

「gentlyくん、乾杯終わったらさっさと料理取りに行くんやで」

 

大阪で名の通った老舗ホテルで1人2万円もするパーティーなんだからさぞかし立派に違いないと想像しているぺーぺーな幸せ者の私に「遠慮することはない」という意味でおっしゃったのだろうとその時は思ってました。そして会場入りしてすぐ理解しました。まず、着席するテーブルがない。椅子はあるものの、会場の端に全部寄せられている。そして、参加者の数に対して、明らかに、料理も酒も少ない。

 

政治家は資金集めのためにパーティーをやるという肝心の目的をよく理解できてなかった私は、乾杯が終わるや否や死骸に群がるハエのように料理にたかる人々をかき分けて、肉や野菜をせっせこ盛り付けてもそもそ食べ始め、皿が空になったところでもう1周行ってみようと目を転じると、先ほどまで大皿に盛り付けられていた料理が、それまでに参加したどんなパーティーよりも皿の底が美しく見えるくらい、跡形もなくなってました。乾杯から10分です。総務部長と渉外部長と警察OBの嘱託2人はもとから食事する気はなかったようで、目が合った私を見てしきりに頷いてました。わしらの分もしっかり食えたか。いいえ、普段の夕食の半分にも満たない量でした。

 

もうやることがほぼなくなって立ち竦んでいたら、ご来賓のあいさつが始まりました。本四公団の偉い人。自民党大阪府連の偉い人。あと誰来てたか忘れました。なんせいっぱいおった。最後にようやく松谷先生の演説です。総務部長はこの時も私に耳打ちし、

 

「gentlyくん、話聞かんでええから誰よりも盛大に拍手するんやで」

 

ご立派なお話をされている間、ペーペーで世間知らずの私は、何のゆかりがあって大阪でこんなパーティーをやるんだろうとか、量は少なかったけどご飯はおいしかったなとか考えてる間に演説が終わり、万雷の拍手を浴びながら金屏風のステージを降りる松谷先生の背中にぼんやり視線を送りつつ、手が痛くなるほど拍手してました。渉外部長は歌舞伎役者に大向こうでも投げかけるように「いよっ!日本一!」とか叫んでました。

 

そのあとは会社の名代としてきちんと参加費をお支払いしたうえで、我々がこの人数で来たことを印象付けるための名刺交換タイムです。会場はだだっ広く、参加人数は優に300人を超えていたため、どこに松谷先生がいるか遠方からでも視認できるよう約3メートルの柄がついた、火消しのまといか武将の馬印みたいなものを持ってしずしずと歩く女性がいました。先ほどまでハエだったおっさんたちが、今度はアリのように整列して名刺を撒いて帰るのです。

 

これが、政治資金パーティーというものです。一般庶民がイメージする立食パーティーや宴会とはかけ離れたものであることがお分かりいただけたと思います。目的は親睦や会食ではなく資金集めなので、極端な話をすれば参加者がお金だけ払って帰ってくれれば政治家としてもありがたいのですが、それでは単なる企業献金であり、その結果会社に利益があれば贈賄、見返りがなければ背任を疑われる「色のついたお金」になってしまうので、政治資金規正法上こうした資金集めが正当な方法として定められているのが政治資金パーティーです。

 

もう、笑っちゃうでしょう?どんなに法で取り繕ったところで、やってることはただの政治献金=寄付です。菅首相がボコスコ叩かれてる会食とは根本的に趣旨が異なるこのような集まりに対して批判が集中しているのは、新型コロナウイルスの感染状況が一向に改善しないこの時期に、人を集めることに対する危機感の欠如を示しているからです。

 

お金払って参加する側は、どうせ料理も酒も不十分なのが分かってるからすぐ帰りたいんです。で、お金もらう政治家は会食なんてどうでもいいんです。それに今回のパーティーは前半の勉強会に付随するもので、竹本さんは後半の会食に参加せず帰ったと報道されています。立食形式で多少会話のやり取りもあるでしょうけど、唾液が飛び交う宴会にはなりません。何より、万が一会食中止となって困るのはホテルです。準備した料理やそれに伴う人件費が全部パーです。多少のキャンセル料は入るのでしょうけど、とても割に合いません。

 

それらを総合的に判断した結果、お金をもらっていることなので(お金をもらわないと政治資金パーティーとして成立しないので)勉強会も会食も開催に踏み切ったのでしょうけど、民間企業では集まること自体をタブーと見なし、通常の会議ですら一堂に会することなくオンラインを導入して遠隔地から参加したり、会議は開催しても会食は一切不可としたり、政治家より厳格に感染対策を運用しています。政治家の行いは相当浮世離れしており、認識が甘いと言わざるを得ません。仮にもIT政策大臣という国務を担ったお立場でありながら、こうしたテクノロジーがコロナ禍で威力を発揮している事実にとことん背を向けてきた方なのだということが改めてよくわかるというものです。

 

批判は正しい認識に基づいて行われるからこそ意味を持ちます。見ている方向が同じでも、何に拠っているのかによって意味が違ってきます。そういうことを考えさせられる一連の報道でした。