working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

ASKAと私

ごきげん麗しい週末をお過ごしの皆様こんにちは。缶ビールばかり飲んでいると生ビールの美味しさに気付かされますね。近所のがんこ寿司で飲みすぎて片手を超える支払いになることザラです。がんこの生ビール(アサヒ)は中ジョッキ700円前後でお高めですが、ちゃんと管理してるのが分かります。美味しいお料理を出してくれる和風居酒屋チェーン最後の砦として、なんとかコロナ禍を乗り切っていただきたいものです。ワタミとか白木屋とか、無理。

 

昨日、甲子園の地上波中継解説に清原和博さんが登場して思い出したことがあります。チャゲアス、主にASKAのことです。

 

中学生末期の私は、病的にチャゲアスが好きでした。ASKAの伸びのある高音域の声に病的に魅了されていました。自分もこんなふうに歌えたらモテるだろうなと病的に思ってました。つまり、生活全般が病的でした。

その後、社会人生活を始めて数年経ってさらに心を病んでアニメに傾倒する頃までは全てのアルバムを持っていました。そうだ、今どれだけ残ってるのか、かき集めてみよう。

f:id:working-report2:20210711115903j:plain

8cm残してあるのは男と女ライブ音源のため

だいぶ減った。初めてお小遣いで買ったTREE(1991年)は健在だったか。4年前の引っ越しを契機に、聞かないと判断したCDはごっそり処分したので、よく残ってる方といえばそうなのかな。処分当時の記憶と齟齬しててショックなのはデビューアルバムの風舞(1980年)とセカンドの熱風(1981年)がないことです。どちらも40年以上前の音源で、私が持っていたのはポニーキャニオン所属時代の復刻CDでした。デビュー当時と全盛期のASKAの声の違いはびっくりするよ?どの辺が変声の境目だったかと聞かれたら、シングルベースでは標的(1984年)とMOON LIGHT BLUES(1985年)の間ですかね…この辺は人によって意見が食い違うところですが。

4年前の自分がどんな判断基準をもって処分と留保を選別したのかわからなくて腹が立つのは、ファンの間で名盤として名高いPRIDE(1989年)もないことです。ゴージャスなジャケットで、初めての2枚組で、2枚目に収録されたセルフカバーがまた良かったんですよ。中でも熱い想い(1982年)は聞き惚れすぎて、会社の同期と社外の友人の結婚式で2回歌いました。今もたまに風呂で遠慮なく歌ってます。すごい近所迷惑でしょうけど。

あー思い出した、仕事で博多天神に行ったとき、日付を跨ぐ頃に四次会で大きなホステスクラブに連れて行ってもらいましてね。gentlyさんカラオケ得意だそうじゃないですか、何か歌ってくださいよと言われてひとり咲き(1979年)を気持ちよく歌わせてもらったら、そこかしこの酔客から拍手いただいちゃって、しまいに店の奥からどえらいべっぴんさんが出てきて「先程ひとり咲きを歌われたお客様はどちらに…」本ママと名刺交換させていただいたこともありました。会社員クビになったらオーディション受けよう。

PRIDEまでのユニット名表記はCHAGE&ASUKAで、その次のSEE YA(1990年)から真ん中のUが取れてASKAになったのです。当時は海外レコーディングの何がすごいのか全くわからなくて、このSEE YAとENERGY(1987年)とGUYS(1992年)が確かロンドン収録でしたが、今聞き直してもよく分かりません。そういやGUYSは中学生当時、チャゲアス人気が絶頂を迎えた頃で、クラスメイトの有象無象が貸してくれというので初回限定版をジャケットごと言われるままホイホイ貸してたらボロボロになったな。あの経験からアニメのBlu-rayを人に貸すときは絶対ジャケットを外して中身だけ渡してます。それでもエヴァの旧劇場版DVDを一回ダメにされたときはブチ切れましたが。

しかし減ったとはいえ、1985年のMY Mr. LONELY HEARTからソロ活動を開始したASKAの初期アルバムは処分せずに持ってるんですね。チャゲアスで歌ってるASKAとはまた違うムードを持った曲が多数あって、中でも私が一番好きなのはgood time(2000年)。

f:id:working-report2:20210711121801j:plain

鍵型のキーホルダーなくしちゃった

僕らのこと尋ねる人が来たら

素敵な恋をしてたと伝えて

その言葉が残ればいい

 

お前ら書けるか?こんな詞書けるか?私は無理だよ、恥ずかしくて死んじゃうよ!でもカッコいいんだよ!

 

あの頃どんな恋をしてたかというと、お茶の水の2つ年下の子で、よくいえばというか欲を言えば新山千春似の、とてもいい匂いのする女子大生でした。そしてエッチでした。とても積極的でね。この年の夏、母校が出場する甲子園に連れて行ったり、プリクラ撮ったり、実家に泊まらせたり、家族に聞こえないように口を塞ぎながらあれやこれやしたり、もうほとんど結婚するくらいの勢いで色々なことを夢想していました。

 

彼女が実家の新潟に帰ってから、おかんは厳かに私に告げました。

「あんたな、ほんまに見る目ないな、がっかりやわ」

 

いわく、これから出ると言ってるのにいつまでも洗面所で塗りたくってる、まだ19そこいらやろ?なんであんな化粧濃いの?女から言わせたらクズやで?あと妙に艶かしいのなんや?あんたと歩いてるとき見てる方が変な気分になるねんけど、あんた嬉しそうにしてるしほんま恥ずかしいわ、あとな、仮にも好きになった人の実家に来るのに、生足てどういうことや?礼儀知らんのか?私があの子のおかんやったらひっぱたいてるわ、優しいおかんでよかったな、え?

 

それは史上空前の親子喧嘩勃発のファンファーレ。まさかエッチに積極的で手放せないんです、はいもう腎虚が恐ろしいくらいです、あそういえば蒲田のユザワヤで下着買うのに付き合わされて、これgentlyくんちに置いとくねってマーキングされましたなんて言えるはずもなく、おかんの指摘がいちいち正鵠を射たものだったので余計に腹が立ったのです。あれ以来おかんとは一切、女性の話、結婚関連の話をしなくなりました。次に口を開けば殺し合いになるからです。

その後…名門女子大の彼女が「帰省」と称して1か月も寮を空けたのに実家に戻っていないことが問題になったり、本を読む暇もないくらいお出かけやエッチを要求される同棲生活に耐えがたくなって、関係は着実に悪化しましてね。6月ごろから好き好きイチャイチャだった私たちは9月に関係を解消しました。ちょうど爛れまくった時間を過ごしていた頃にリリースされたgood timeはその後、私の中で忘れがたい曲になりました。どの辺が素敵な恋だったのか聞かれると困るのでやめてください。

 

…ともかく話を戻して、処分したCD音源自体はiTunesファイルに落としてあるのでいつでも戻せるんですが、CDを持ってること自体がレガシーもしくはバーチューですからね。物を持たなくていいと判断した時点で何かが吹っ切れたのでしょう。そして吹っ切れに間違いなく影響しているのは、2016年にASKAが薬物所持容疑で逮捕されたことです。

 

ASKAソロアルバムSCRAMBLE(2012年)を最後に、その前後から旧音源を使用したベストアルバムや、他アーティストのカバーなどを連発し始めていました。齢五十を過ぎ、ASKAは詞や曲が書けなくなったのは明らかでした。

f:id:working-report2:20210711124629j:plain

何やったってさ、素晴らしい音楽は変わらないよね

芸術家が芸術に打ち込めなくなった、世間から評価されるものが作れなくなったときにどうなるのか、平凡な会社員の私は見たことのない世界なのでしょう。それは恐怖なのか苦しみなのか、暮らしていくには困らない財産を築いた妥協なのか、妥協している自分を許せない自尊心なのか、想像の領域を出ないのですが、それらを一括りに苦悩と呼ぶことが許されるなら、苦悩から逃避する手段が覚醒剤しかなかったというのは本当に残念な話です。CHAGEも絶対気付いてたと思うんですよね。

 

「その変なクスリやめろよ!」

「俺の苦しみがお前には分からねぇんだよ!」

「だったら俺を頼れよ!俺が全部受け止めてやるよ!」

「出来ねぇよ…お前には、心配、かけたくねぇんだよ…」

「バッカ野郎!何十年も一緒にやってきた仲だろうがよ!」

「お前……ありがとう、大好きだ!」

 

みたいなやりとりがあったと想像します。どうしてもBL寄りにしてしまう自分が呪わしい。

現在、ASKAは活動を再開し、新曲を精力的に発表しているようです。「ようです」というのは、2005年あたりを最後にチャゲアスの音楽が私に響かなくなり、ファンを辞めてしまったからなのですが、若い頃の思い出と密接に混ざり合ったあの頃の音楽はファンを辞めても、僅かな形とともに残り続けるものです。

 

2019年リリース、歌になりたい。病的な中学生だった私が惚れ込んだハイトーンボイスは相変わらず健在で、還暦を過ぎた衰えを全く感じさせません。世界の根源を垣間見たかのような壮大な世界観、歌に魂がこもっています。7月14日にも新曲がリリースされるようです。ただ、私に響かないのは、私の中で過去の人になってしまったからなのでしょう。これはこれで辛いな。あんなに好きだった君なのに。

f:id:working-report2:20210711115705j:plain

IDはいい曲

きょうは思い出に浸ることにしましょうかね。先程から何枚かテレビスピーカーから流してて、イントロを聴いた瞬間に、ふっと若返る感覚があるんですよ。そのついでに恐ろしく余計なことを書いた気がします。相変わらず病的です。