初回からエヴァの話を猛烈に書いて燃え尽き気味になってました。間が空いて申し訳ないことでございます。
私をこちら側へ回帰させたエヴァの後は就職以来2年近く連絡を取っていなかった師匠とのホットラインが復活。学習用として大量の録画DVDが届く日々が始まりました。そして京アニの存在を知るのです。
アニメで泣く?んなことあるかいな。
あの頃は本当に何も知らない馬鹿者で(今は多少の物事を知った馬鹿者になりましたが)社会に出て働く大人が作り物の映像程度で心動かされるわけがないだろうと信じていました。そんな私の窮屈な思考を粉々に打ち砕いたのがAIRでした。もうボロボロに泣いた。声上げて泣いた。それからは6話と11話が始まった時点でパブロフの犬のよだれ並に両目が反応するようになり、しばらくすると夏の始まりと夏の終わりが来るだけで塞ぎ込むようになりました。「みちるはね、みちるっていうんだよ」「もうゴールしてもいいよね」がネタ化しても、それを聞くだけで悲しみのあまり声が詰まるのです。今書きながら思い出すだけでも涙目です。
砂浜の観鈴ちんが誰の心にも突き刺さるのは当然として、それと並んでぐっと来るのは、背景曲がクライマックスに達したところで日差しに背を向けて枯れ落ちようとしているひまわりを描いた1秒にも満たないシーンです。あれはすごい。かれこれ30回は見たと思いますけど、他のどのシーンよりも強烈な印象を残しました。夏とともに全ての終わりを告げるあのひまわりを見るたび、目から鼻から大量の老廃物自然と涙が出てくるのです。私たちはこれ以降、夏が来るたび死ぬまで思い出す呪いにかけられるのです。
AIRの世界を彩る歌の数々について今更私が言うべきことなどないので他のブログその他でお調べください。鳥の詩も青空もFarewell Songもね、世が世ならサライくらいの知名度があるべき名曲です。国歌は「こっか」ではなく「くにうた」。大変巧妙に仕組まれたモグリ検知ツールです。
(YouTube経由の動画は権利者ではないため削除しました)
見るひまのない方は3分程度のこの映像で雰囲気だけでもどうぞ。……そういやAIRを見せた会社の同期はこう言いました。「これは国崎でも観鈴ちんでもなく、全てを見届けた晴子さんの物語だったんやな」。なんやお前ええこと言うやんけ。今の年齢でもう1回見たら晴子さんが一番辛いことがよく分かるってもんです。この記事書くために第1話と第2話を見ましたけど、やっぱり晴子さん最高。酒瓶取ろうとしてうまく掴めないのとか、キャミの肩紐ずり落ちるのをちょっと慌てて直すのとか、ほろ酔いで目を細めるのとか超可愛いじゃないですか。久川綾さんのこういう役好きです。久川綾さんは当然好きです。結婚してください。津田健次郎さんがあの役だったのは知りませんでした。見直してみるもんですね。
Kanonはね、AIRで耐性ができたのか、より目と鼻が接近して宇宙人の雰囲気さえ漂い始めたいたる絵がきつかったのか、それほど引っかかりませんでした。だーまえこと麻枝准さんおよび制作集団Key原作が実はエロゲーだったことを知るのはこの前後で、一体エロゲーとはなんなのだろうと思い始めた頃、そういえば大学生活を終えて関西に帰る私の見送りに東京駅まで来てくれた師匠に
「いつか必ずこれが役に立つから!」
大きな紙袋を渡され、自宅で開けてみたら大量のエロゲーだったことを思い出してあいつ◯すと思ったのはともかく、師匠に連絡を取りました。
じぇ「AIRやばいな、これやばいな」
師匠「最近のもやりたいでしょ?送るから待っててね」
ナギサのと車輪の国、向日葵の少女、その他もろもろがすぐ送られてきました。どっち好きと言われたら困るけど強いて言えばナギサのかな。あの頃から元気な子が好きだったんだな私。ところでエロゲーの箱ってなんであんなにでかいの。そういう法律でもあんのかな。
そして、自分で買った最初(そしておそらく最後)のエロゲーが、実はエロゲーではなくギャルゲーだったCLANNADで、ちょうどその前後テレビアニメ放送が始まったのでした。エロゲーとギャルゲーで何が違うのかわからない方は各人のご興味に応じてお調べください。私の思うところでは大した違いはないです。
結局ゲームでは友紀寧ちゃんルート以外攻略できなかった私(でも友紀寧ちゃんは一目惚れしてたからものすごい運命を感じた)に代わって、アニメは原作をよく咀嚼した素晴らしいストーリーで再び私を涙のため池に叩き込むのです。第1期の9話、アフターストーリーの18話。木彫りのヒトデを配り歩く奇異な少女が私の首根っこを掴んで往復ビンタをかました後、十数年後に枯れ果てた親父の話と菜の花畑のおもちゃと渚ちゃん思い出して号泣。もうね、わかってても泣かされるって、わかってても三振する火の玉ストレートみたいなものですよ。
……そうやってパーツを取り出して回想するのにCLANNADはピッタリなんですけれど、お話全体の構成を考えたとき、あまり人には勧められないんだなぁ。とにかく辛抱して9話まで見続けた先にある光。同じことがAIRにも言えて、最初の6話をいかにして乗り越えるか。みちるエンドにたどり着いたら後は怒涛なんでね。モップみたいな犬連れてる子の話は別にどうでもというか、あの話いるかな。制作者は見る人をあえてふるいにかけているのではないかと思うくらい冗長な気がするのです。
ちなみにCLANNADは最終話を見て開いた口がふさがらなくなりました。困った時は師匠の出番です。
じぇ「おい、あの終わり方どないなっとんねんや」
師匠「わかんないかな!奇跡が起きたんですよ!」
終盤に近づくにつれ、この話どうやって畳むんだろうって思ってたんですけど、奇跡。ひょっとすると、何回か見ればわかるのかもしれない。裏世界の少女とロボットの関係もよくわからんかったし。あの少女、観鈴ちんと同じ川上とも子さんなんですね。早すぎるご逝去から10年経ちました。素敵な声優さんでした。
なんだかんだ言いながら、振り返ってみるとどハマりしてましたね。
これらkeyの三部作アニメ化を手掛けたのが京アニです。その前のフルメタル・パニック!の評判も非常に高いのですが、師匠に手引きされた私のような人間はどうしてもエロゲー寄りになってしまい、現代の京アニに続く美少女の系譜をエロゲー三部作に見るのです。樋上いたるさんのデザインは目と鼻と口が極端に近いキティちゃんのような印象を与えるのですが、これが京アニマジックにかかるとあ〜ら不思議、とても自然な表情に見えてくるのですね。
……別に書かなくていい事なので取り消し線引いておきますけれども、AIRもCLANNADもテレビアニメとは別に劇場版が存在します。Kanonに至っては2002年と2006年(こっちが京アニ)にテレビアニメが別々に作られる謎現象が起きました。しかしこれら一連の作品群は出崎統監督独自の解釈による世界観と、京アニではなく東映アニメーションが手がけている点で私が熱弁している作品とは全くの別物ですのでご注意ください。
エヴァでは泣かなかったのに、keyで泣いただけのどこにでもいるにわかオタクの話でした。次回は本格的にテレビアニメを縦断的に見始めた2008年4月以降、師匠の手引きにより深淵に足を踏み入れていくにわかオタクの話です。