working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

アニメと私(6)

武田日向さんの美麗な表紙絵に惹かれて富士見ミステリー文庫GOSICKを手に取ったのは10年以上前のいつのことでしたかね。まとめ買いできる程度に各巻平積みで並んでましてね。物語の最終盤で武田さんが亡くなられて、レーベルが角川文庫に移ってからは影絵のヴィクトリカちゃんが表紙になり、表紙絵とともに美麗な挿絵も消えてしまったのは寂しい限りでした。

 

今、この絵が使われた本を買うには中古市場をあさるか電子書籍に頼るしかありません。アニメ放送前後でタイトルフォントが変わりますので、装飾文字かスタイリッシュなゴシックかでファン歴もある程度わかると思います。私は例によって4年前の引越しで全巻持っていたのを手放しました。小説のクオリティをどう評価するかは意見の分かれるところですが、当時の私は読み返すことはないと判断したのでしょう。椅子に腰かけた浴衣姿のヴィクトリカちゃんが一番大人っぽくて、久城の介添で拳銃を構えるヴィクトリカちゃんがちっちゃくて綺麗だったのを覚えてます。ご興味に応じて検索してみてください。

 

アニメシリーズが始まった2011年1月は魔法少女まどか☆マギカの初回放映と同時期です。ヴィクトリカちゃんを演じた悠木碧さん(以下、あおちゃん)の演技を同時期に2種類見られたわけです。紅以来のキャリアを見てきた私の思うあおちゃんらしさがあったのは、圧倒的にヴィクトリカちゃんなんだなぁ。大人っぽさを意識した大仰なしゃべり方は、小説に書かれていた老婆のようなしわがれた声のイメージとはおそらくだいぶ違うんだろうけれど、気難しい不機嫌な演技のあおちゃんで大正解だったと思います。

 

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本を模したデザイン まさに浩瀚

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全巻収納ボックスのイラスト 泣ける

Blu-rayは1巻2話入りの全12巻で、当時の単巻定価は税込9,240円。全巻揃えたらいくらかかりますか。だいたい11万円くらいですか。道楽にも程がありますね。いくらアニメイト大好きな私でも定価購入の継続は無理筋と判断してAmazonに頼りました。収納BOXは全巻購入後に応募券を貼付した台紙と1,600円の郵便小為替を送って手に入るレアアイテムです。武田日向さんのイラストは本当に美麗。私の知る限り、ヴィクトリカちゃんは古今東西Blu-ray史上最もエクスペンシヴでラグジュアリーなハイコストガールです。そして、その代償に見合うクオリティだったのかをこれからだらだらと述べます。

 

制作のBONESについて知っている、知っていたことは2つだけです。

 

交響詩篇エウレカセブンを作った会社
DARKER THAN BLACKを作った会社

 

エウレカセブンは2008年ごろ、BS11の再放送が初見でした。DVDレコーダーのアナログ接続(BSチューナーが内蔵されていないのでテレビ映像を直接取り込む)で録画視聴していたので映像の粒子が粗く、絵的にどの程度完成されていたのかよく分かりませんでしたけど、アニメキャリアの浅い私でもしびれるくらい動き、アングル、ストーリーのどれもセンスが横溢してましたわ。デューイに影響されて金枝篇上下巻を頑張って読んだんです。あいつ変態ですね。戦場で何読んでんだ。

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面白いけどTPOというものをだな

 

DTBはほぼセンスの塊でしたよ。ハングマンを想起させるチームの諜報活動と、ハードかつスタイリッシュな戦闘シーンに魅了されなかった者がいようはずがない。それに菅野よう子さんの音楽合わせるとか、もう頭おかしくなるくらい狂喜してましたから。お話をどこまで咀嚼できてたか聞かれるとウッてなりますけど。アンバーあたりから怪しい。結局ゲートって何だったのか、なんで能力者が生まれたのかもよく分からんかったけど、ランセルノプト放射光とか偽物の星空とか、どう見てもただのばあちゃんなのに頭にケーブル入ってる星見様とか、心をくすぐられる要素がたくさんありました。

 

そんなキャリアを持つクリエイター集団が映像化するのですから何の心配もしてませんでしたし、あの原作をどうさばくのか、ドラマCDの斎藤千和ヴィクトリカに対して、悠木碧ヴィクトリカはどう解釈してくるのか、あらゆることが楽しみで楽しみでふたを開けて始まったのがyoshiki*lisaさんのオープニングでした。

失礼を百も承知で、彼女の歌が下手だとか、そもそも彼女が嫌いだとか言いたいのではなく、作品世界に合っていない。まぁ?若干鼻にかかったあの歌声が気に入らないのは事実ですし、タレント活動している彼女を見ると嫌悪感しかなかったのも事実ですけど、個人的な感情を抜きにしても、あれはないと思ってしまったんですわ。ミュシャ風のタッチで描かれた映像がぐるぐると早回しで展開し、アップテンポな曲が始まったとき、私は両手両膝をついて「違うんだよ、これはそんなにアクティブな話じゃないんだよ……」と呻いてました。立ち込める暗雲。忍び寄る絶望感。あと、情動と関係なく襲ってくる尿意。

 

本編が始まって数分でそれらは吹き飛びました。つやっつやの金髪を輝かせながら床をゴロゴロするヴィクトリカちゃんを見て、私はこの女のためなら身を滅ぼしても構わない、全てを差し出そう、何なら今すぐ椅子になりますよ、そう思わせるほどの魔性がだだ漏れてました。最近のアニメではヴァイオレット・エヴァーガーデンの金髪の輝きに似た神々しさ。大宮忍ちゃんがぞっこんになる理由も、今なら少しは分かるのです。

 

私は推理ものをほとんど見ないので、ミステリーとしての出来はよく分かりません。重すぎる宿命を背負わされた挙句概念だか神だかになってしまった魔法少女の裏で、数奇な運命と出自に翻弄される小さな金髪の美少女を演じるあおちゃんと、東洋の黒い死神と渾名される久城の悪態をつきながらも心を寄せていくヴィクトリカちゃんが見られれば十分でしたから。

 

他のテレビアニメを圧倒するビジュアルクオリティを最終盤まで維持してくれたこと、オープニングの個人的低評価を補って余りあるコミネリサさんのエンディングに深い感動を覚えたのです。ただそれだけ。

 

 

 

このresuscitated hopeも素敵な歌ですが、後期のエンディング、unityは胸に迫るものがあります。「心は決して、離れまい」の意味があまりにも重い。

 

この頃、ラノベから小説まで幅広く手がける桜庭一樹さんの作品を他に読んだことがなかったので、砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない推定少女を読んでみたのですが、うん、まぁ、深く掘り下げるのは別の人に任せよう。正直、感想が出てくるほど覚えていない。そしてこの本も4年前の引っ越しで売り払ってしまったということは、繰り返しになるけどそういう判断をしたということだな。友人の古本屋さんがよく言ってます。また読みたくなったら古本で買えばいい、そうやってお金と物語は回っていると。

 

ただそれにしても、武田日向さんのイラストが収録された新品購入のシリーズは、取っておいてもよかったなぁ。ちなみに、2018年に出版された画集は現在Amazonで新品が定価の5倍、中古品でも2倍以上の価格で流通しています。転売屋はいつか全員ぶっ●してやる。

 

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