working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

先輩が辞めた会社の後輩の話

皆様こんにちは。先日、会社の先輩がまた一人辞めました。お辞めになるとは思ってなかったのと、20年ぐらい前の私のルーキー時代に別の先輩に向かって「僕はなにがあっても会社にしがみつきますよ」とおっしゃっていたのを鮮明に覚えてるくらいなので、聞いたときは大変驚きました。が、時間が経つにつれ、そういうものかもしれないな、いやそういうものだろう、そうでなくてはいけないと考えが変わりました。

メールで退職の話を知って(実はそれ以前からうわさが漏れ伝わってきてはいたんですけど)、先輩と直接顔を合わせることが出来なかったものの(というか、なんか合わせづらい)、何かはなむけになることがしたいと思ってこれ書いてます。たぶん何のはなむけにもならないと思いますが、とりあえず書きます。一部関係者の方が鼻で笑う程度のクオリティに仕上がると思います。

 

昭和から平成半ばにかけての日本の会社員は1社勤続が常識でした。よく言えば家族的、悪く言えばしがらみだらけの環境で定年まで勤めあげるのが美徳とすら思われていました。会社に忠誠を尽くし、それに見合う(とされる)報酬を得る。経営者と労働者は鎌倉以来の御恩奉公のような関係で、ひとたび労働者が連帯して異議を唱えれば争議行動(いわゆるストライキ)も辞さない、そんな時代を過ごしてきました。

……ストライキなんて私が就職するころにはほぼ死語で、本当にやったのは日本プロ野球選手会くらいでした。なんだっけ、近鉄球団消滅の扱い云々で古田敦也礒部公一をテレビで見ない日はないってくらいの騒ぎになりましたけど、ストライキそのものは至って小規模だったと記憶しています。こどものころはJRが春ごろに必ずやってましたね。今、公共交通機関が賃上げ要求で電車止めたら世論が許さないと思います。

 

私の勤め先はは良くも悪くも昭和の遺風が色濃く残る、永年勤続を大前提とする働き方が可能な、大変希少な職場です。なので、先輩が「会社にしがみつき」続けようと思えば出来たのです。でも辞めました。なぜか。

広報部長が以前「この職場のいいところは人や」と常々言ってました。最近は全く聞かなくなりましたが。その意味するところは具体的ではありませんが、おそらく個々の従業員の人間性が優れているとか、能力が優れているとか、アットホームで働きやすいとか、そういう意味なのだろうと解釈しています。私の感覚では本当にそうか?むしろ逆だろう?と思う場面が多々あって困惑しきりですが、すべては私の無能に起因することなので仕方ありません。本当に人間性の優れた人があからさまに部下を無視する態度取るもんかと言いたいけど黙っておきましょう。そんな、人が優れているはずの組織から定年退職やら途中退職やらで続々と人が抜けています。ははっ。

さらに、先輩は以前の職場でとんでもない上司につかまりました。まぁ、この上司は私の大学の先輩なんですけど。部下を使いつぶすことで有名で、そのビッグマウスぶりが飲み会の都度発揮されると精神的苦痛を伴い、せっかく高い金払って飲む酒もまずくなるので私は肚決めて三田会に行かなくなりましたけど、有能でまじめな先輩はこの人の言うことを全部聞いて、全部やろうとしたんでしょう。その結果メンタリティに不調をきたしてしまったのですが、あの辺からお考えが変わったのだと思います。

また、元労務課長で既に転職しているTさんの話を引用すると「今の経営陣はお前ら(私ら)のことをコストとしか思ってへんからな」。立派な経営者、最近亡くなった稲盛和夫さん、経営の神様と言われた松下幸之助さん、ソニー創業者の盛田昭夫さん、その他もろもろの先人たちはおしなべて有能な従業員を人間的にも給与面でも手厚く遇したと言われています。日々イノベーションが求められる業界の方々であり、テレビ的露出も多いことから、どこまで実践されていたのか私には知る由もありませんが、当社にはそういう雰囲気全くないです。私が知らないだけかもしれませんけど、少なくとも会社フロアの従業員からそういう覇気、元気のようなものは感じません。体育会の空疎なノリで発せられるから元気のほうがよっぽどマシです。

長年、部長多くして部下少ない逆ピラミッド構造が続き、課長以上の管理職を対象に出向やら転籍やらあの手この手を使って定年前の従業員待遇を次々と切り下げ、長引くコロナと業績不振を理由に管理職以下の従業員も給与カットを甘んじて受け入れている現在、少なくとも私は管理職に昇格したいなんて1ミリも思ってません。ゆでガエル、無能、仕事できないおじさん、何と言われようと現在の地位にへばりつきます。管理職になると少し先の未来すら描けません。その管理職を少なくとも10年以上続けた先輩は、言葉の選び方は難しいですが、偉いと思います。もしご本人がこれを知ったら「お前どこのだれ目線で語ってんねん」言われそうですが。

……これは過去に辞めていった同僚、後輩たちから共通して聞いた話ですが、例え私のような無能が辞めると言い出した場合でも、会社人事部の慰留の圧が物凄いらしいです。特に大卒は企業グループ全体で数百人しかおらず、1人でも辞めると就職サイトの掲載情報、定着率や離職率(そんなん公表してるの最近は)に響くので極端に嫌がる、ただ、慰留はあくまで慰留であり、待遇の向上が約束されるといった「ごね得」は一切ないと聞きました。まさにかたちだけの愛。具体的条件を伴わない慰留なんかで思いとどまるわけがないのに、そうなる前に出来ることがあっただろうに。

 

ここまではだいたい人にまつわる話でしたが、先輩の直近の担当業務もつまらなかっただろうなぁと思います。予算も満足につかず、ただやることだけは上から指示されたり外向けに報じられたり、踏んだり蹴ったりだったんじゃないかなと。具体的には言えませんが、会社の経営陣はITについてセクション自体が利益を生まないため、リテラシーどころか単なるコストセンター程度の認識しか持っておらず、日々オンプレとクラウドとそれらに乗っかるアプリの運用維持管理に心を砕いているスタッフたちを束ねる部長も経営陣の認識を改めるに至らず(そんなこと出来るなんてこれっぽっちも思ってないけど)、それらのセキュリティ、機器の調達も基本部署の仕事として丸投げで(そこは別に詳しく知らなくていいけど)企業運営上の必須インフラとしての認識が甘すぎるゆえに、とりあえずコスト削減、技術革新の検討停止、管理費削減、残業禁止、そんなことばっかりやらされてたら心を病みます。

 

人を大事にしない会社はしんどいです。かといって今更社外の洗礼を受けるのも怖気づきます。私は出向解除して欲しくない程度にはあのフロアに戻りたくないですし、かといって決断できるキャリアも能力もない、一番ヤバいゾーンにいます。今の会社はブラック要素もほぼなく、荒波を立てず勤め上げるには最高の職場ですが、将来性が全く感じられません。私まだ40代前半なんですけど、定年まであとどれくらいか指折り数えてます。これはこれでしんどいのかもしれません。さっさと新天地を目指すのがいいのかもしれません。

唯一先輩が羨ましいのは一時金ですよ。この制度、たぶんもうすぐなくなります。退職の歯止めどころかむしろ推奨する額になっている。その後もどこかで働き続けることを考えたら最高の手切れ金です。1年くらい自由人やってもいいんじゃないですか。ご家族がいるとそういうわけにもいかんのでしょうけど。私こんなにもらえたら直ちにやめて高島に移住してローソンのバイトでもしながら余生を送ります。

 

先輩は優秀なので、どこに行っても通用すると思います。私の事なんてとっくにお忘れかもしれませんが、ルーキーイヤーからの2年間と前職場での1年間、しっかりと鍛えていただいたおかげで私はしがみつけてます。私もそろそろ手放すかもしれませんけど、ありがとうございました。