working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

クールビズ終了に寄せて

皆様こんにちは。わが社では10月末のクールビズ終了にともなって、ネクタイ着用が再び義務付けられる季節になりました。

結び方も大して知りませんのよ

どこの役所だよ?て思いませんか。仮にも民間企業、BtoBでもクライアント側のはずなのに、何のしきたりがあってノーネクタイにできないのか理解に苦しみます。最近はSMBCの営業さんすらカジュアルルックですよ。お堅いことこの上ないメガバンクですらネクタイやめてるのに、うちはなにしてんの。

それで納得いかないなりにつらつら考えてみたら「仕方ない」の結論に至ったので顛末を記しておきます。

 

ネクタイとはそもそも何でしょうか。

www.diamondhaketie.com

読み始めは若干うさん臭さを感じるのですが、ちゃんと調べられた良記事です。正直、ネクタイの歴史なんて興味なかったのに、レジメンタルの由来あたりから筆が乗って面白いです。長いので腹据えて読んでください。

そしてこれを読む限り、紳士服を扱う人々の根底にある思いは「ネクタイはおしゃれ」であり、おしゃれを楽しむのが紳士の本分であろう、ということです。ノーネクタイなどありえない、クールビズなんて知るかと。

ただね?日本の会社員は単なる身だしなみの域を出ないアイテムとしてネクタイを見てる人がほとんどじゃないですか。紳士服=仕事着です。

たとえば、どこかへ出かけます。じゃネクタイしよっか?とはなかなかならない。そんな人は木之本藤隆くらいしか知りません。あるいは舘ひろしみたく、妙齢の女性とワインを傾ける晩餐なんてレアイベントの当事者にはまずならない。なんで舘ひろし出てきたんや。ハズキルーペのCMか。

レジメンタルが左上がりだろうが右上がりだろうが、まぁ気にしてません。三つ揃いで何と合わせるかに至っては上流階級の知識ですよ。

 

私にとって、ネクタイは着用義務があるから身に着ける。そんだけです。身に着けるからにはちゃんとこだわりたいとか、そういう気持ちはありません。1本1,000円で売ってる、ちょっと傷んできたら気軽にポイしても心が痛まないくらいのでいいんです。

おしゃれな人はいますよ?おしゃれの文脈が読み解けるかどうかは別として、私のようなど素人にも「あ、この人のこの服装が着こなしというものか」と直感的に分かることもあります。しかしおしゃれと仕事のパフォーマンスが必ずしも比例するわけではない。むしろ反比例まである。これが一番つらい。

 

なにより、日本の夏の異常な暑さを前提に考えていただきたいんですよね。

 

管理部門でほぼ座り勤務の私ですら自宅と会社の往復で汗だくです。営業なんて死にますよ。おしゃれに気を配る余裕がない。こんな国でくそ暑い時期にネクタイにこだわるなんて変態です。

要は、身だしなみ以上の意味がないならネクタイなんていらんのです。それが私の本音です。

 

ですが。

 

じゃ、私を含むその程度の認識の会社員が四季を通じてノーネクタイになったら、身だしなみを維持できますか?

無理ですね。

カッターシャツとスーツとパンツだけでいいってなったら、まずパンツは化繊の洗濯できるもの、スーツは数年着たら捨てられる格安品、カッターシャツは家帰ってもそのまま部屋着、襟よれよれの垢じみたワイシャツ。多少擦り切れても、なんかのシミがついてても平気で着てる人が既にいますもの。

おしゃれ以前に身だしなみが維持できない。メガバンクくらい頭脳エリートが揃っていれば統制は取れるかもしれない。

わが社は?ないない。

数人がだらしなくなれば、悪貨が良貨を駆逐するが如く蔓延する。服装の緩みは心の緩みというではないか。

だから制服があるのです。その制服の一部としてネクタイがあるのです。これは楔であり、社会あるいは会社に従属する者の証なのです。おしゃれからアプローチした私の認識が間違ってました。

 

紳士服をそれなりのところへ買いに行くとき、私みたいなのは一番恥をかくんですよ。だからお店にとっては絶好のカモでもあります。勧めたら勧めた通りに買うから。

カジュアルならまだしも、フォーマルシーンのおしゃれに興味はない。でも身だしなみを意識すると生地が良くなったり、合わせて装備品を購入したりで出費も比例する。本人が望むと望まざるとにかかわらず、結果的にそれはおしゃれを志向していることになるのです。

そして以前も書きましたが、一度おしゃれに目覚めると際限がありません。なのでどこまでもいいものを身に着けようとして、それが自分に似合っているかどうかより、知識が前のめりになって、ただただ高いものを身に着けるだけ、いわゆる「着られている」恥ずかしい人になってしまいかねないのです。

サウイフモノニ、私ハナリタクナイ。

……ここまで考えられたらもう恥をかくこともないでしょう。どうかな。とりあえずおなか周りのぜい肉を落とすことから始めたいけど。