working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

感想・ハートキャッチプリキュア!

皆様こんにちは。1月の仕事が始まると休日以外に家で余暇を作れないので、しばらくの間は年末年始に何してたかの話です。

全シリーズおさらいプロジェクトはややペースを落としながらも進行中です。年末に7作目となるハートキャッチプチキュア!(以下、ハトプリ)全49話を見終えました。例によって1話も覚えてませんでした。

プリキュアと妖精の存在を覚えてるのに、記憶からお話が全部抜け落ちてます。いつも新鮮な驚き。この気持ちを食べものに例えると、金型が出来上がってるところに生地を流し込んで作られるたこ焼きのような心地でした。なんのこっちゃ。

 

……前後の視聴キャリアについて整理します。

私が初めてプリキュアシリーズを見始めたのは以前も書いた通り、4作目のYes!プリキュア5の途中からです。キュアアクアにぞっこん(死語)になった私は5が2年続いたので、3年目もあるものだと思っていたら、次作は頭身も顔のつくりも刷新したフレッシュプリキュア!でした。

この時、私の中でプリキュア追っかけはいったん終了したのです。アクアさんいないし。3作後のスイートプリキュア♪で復帰するのはまた別のお話。

要するに、リアルタイムでハトプリを見ていません。初視聴は10年くらい前、BS11の再放送の途中からでした。インターネットさんの無保証な情報源によると2013年だったようです。

 

初見でなにに驚いたかって、キャラクターデザイン・馬越嘉彦さんのお仕事です。おジャ魔女どれみがそのままプリキュアになったかのような、従前のデザインとは一線を画したデフォルメキャラクターが見事にマッチして、全作品を俯瞰しても極めて特徴的なプリキュアになったことは間違いありません。

 

中でもキュアマリン・来海えりかの異端児ぶりはすさまじく、青キュアが持つクール、大人っぽさ、ふんわりとした優しさのような、いわゆる「女性的」(ジェンダーバイアスの話ではなく、一般にイメージされやすい女性像)の対極、元気、直情径行、愉快といった、型にはまらない性格と行動パターンが不利な状況を打開していく様子は見ていて痛快でした。

ただ、いかに異端といえども変身シーンはとってもかわいいんですよ。頭ぐりぐりするのは何の意味があるのか、決めポーズを取ろうとして若干よろけるところも含めて「らしさ」を感じさせます。水沢史絵さんのはっちゃけた演技がピッタリな子でした。

キュアブロッサム花咲つぼみとのコンビで変身するシーンでは、背中合わせに腕を組んでぐるぐる回転するシーンもついてきます。対極のカラーリングで対をなす初代プリキュアのオマージュが継承されています。貼り付けたのはソロの変身シーンです。

 

……で、今回が約11年ぶり、2回目の視聴となったわけですけれども、初見でいかにお話をしっかり見てなかったかを改めて痛感する、腹にガツンと来るエピソード揃いでした。中でも効いたのは14話、36話、47話ですが、詳細にご紹介するとネタバレを引き起こすので、14話は母の日、36話は文化祭、47話は父がテーマとだけ書いておきます。

……工藤真由役の工藤真由さんと池田彩役の池田彩さんのHEART GOES ONはすごくよかった。よかったんだよ。

 

当時、心のどこかで「子供向け」と侮っていたところがあったんでしょう。

プリキュアシリーズはどう転んでもバッドエンドにはなりませんので、子供も大人も安心して視聴できるコンテンツです。

そのぶん、どんなに大変そうでも最後はハッピーエンドの安心感から、途中で繰り広げられる顛末をさほど注視してなかった、油断したんだろうなと思いました。だからお話を記憶していない。

各話のラストに当事者の「心の花」に合わせた花言葉を添えて思いを簡潔に表現する手法、その直後に妖精さんが「プリプリプリリーン♪」と可愛い掛け声とともに、どう見てもお尻の穴からこころの種を排出するところまで、どこまでも独特でした。

花言葉、ひとつだけ覚えたんですよ。ひまわりは「あなただけを見つめている」。親父が死んだとき、当時の彼女が長渕剛の同名のシングルCDをくれた意味を四半世紀越しに理解できておしっこもらしそうなった。なんであの子と結婚できんかったんやろ。花言葉知ってたらもらった時点でチューくらいしてたやろに、アホな子供は肝心な時に気がつかんのやな。


お話全体を通じて軸となる、芝居を引き締めるキャラクターがいましたので言及しておきます。キュアムーンライト・月影ゆりです。史上初の高校生プリキュアであり、重い運命を背負わされた少女であり、本作の圧倒的推しです。

欠損したこころの種が象徴的過ぎて、今見ても堪え切れないものが来るわ……。

クロウカードの守護者であり、1,000回の夏の呪いをループする姪の保護者であり、乃木坂家ご令嬢の母であった久川綾さんの演じるムーンライトと、拮抗するキャリアを積んでこられた高山みなみさんの演じるダークプリキュアの因縁まみれの激突は、大人が見ても鳥肌が立つ、子供向け調整が一切ない迫力でした。役者の個性が炸裂する素晴らしい芝居です。これすら覚えてないなんて、本当に見てたんだろうか?と思うくらい。

ああいうのは、わかりやすくしなくていいんだね。清川元夢さんのおっしゃってた通りだ。朝早い時間帯にお子たちは、役者同士の本物のぶつかり合いを見てたんですな。うらやましい限りだ。

月影ゆりの存在によってお話は過度にコント寄りにならず、またシリアス過ぎにもならない、見た後になんとなく、具体的な感想を述べるお子たちはそんなにいないと思うのでまさになんとなく「よかった」「楽しかった」な感想を得て、気持ちよく日曜日を過ごせるのです。

 

……今回は無理やり1回に収めようとしたので、書き足りないこと(男性ぽさを自らに課しながら、変身時は思いっきり可愛くなっちゃうキュアサンシャインのギャップとか、芝居の緩急が自然過ぎて特に触れずじまいになった水樹奈々さんのキュアブロッサムとか、凶悪過ぎる演技で我々を震撼させた緑川光さんとか、画角に顔が収まらないコッペ様とか、坂本千夏さん渾身のキュアフラワーとか)はたくさんあるのですが、別の機会に書きたいと思います。ありがとうございました。