working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

成長とツーマンセル

皆様こんにちは。私が小学生のころ、夕方に再放送されていた噂の刑事トミーとマツが大好きでした。松崎しげるさんと国広富之さんの凸凹コンビで、マツがオトコオンナのトミコ~!って叫んで、怒りに火がついたトミーが犯人グループをちぎっては投げして事件解決するマンガみたいなドラマです。

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検索してみたところ、TBSチャンネルで配信されてるみたいです。サブスク全盛ですわ。

そして私の生涯で最も不毛な中学生のころ、同じく夕方の再放送をこの上なくいかがわしい気持ちで見ていたのがダーティペアです。

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惜しげもなく肌色を晒して街中を闊歩するユリちゃんとケイちゃんをVHS録画して、試験休みで自宅に誰もいない午後、あるいは全員寝静まった夜中にこっそり1人で見てました。だって、水着みたいなコスチュームの2人組の女の子がキャッキャしてるんですよ?アニメとはいえこんなの見てるなんて親父にバレたら殺されます。

ダーティペアのオープニング、ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレットは夜の街感があって、とてもいけない遊びをしてるような背徳感と高揚感がありました。サビに入る手前の無音区間で、ユリちゃんの口の動きで分かるBANG!にあわせて手指で銃を撃つモーションがめちゃくちゃ可愛いんです。髪がふわぁってなって、あ、これいいにおいするやつや……と思ってました。彼女に脳天ブチ抜かれた少年たちは大勢いたことでしょう。

 

狙撃兵と観測手よろしく、2人1組で行動するツーマンセルのお話の何が面白いかって、性格も考え方も違う2人がなぜか意気投合して、互いに意外な発見や気づきがあったり、ケンカしたり、勘違いからコメディが始まったり、その連続の中で成長してゆく様子が見られるところです。成長は変化と言い換えてもいいかもしれません。それにしてもテレビ番組の再放送は少年期の人格形成にめちゃくちゃ寄与してるんだな。

師匠「なんでそこからプリキュアなん」
じぇ「正反対の子がペアになるから…」
師匠「流れくんでるのキディ・グレイドやろ」

ツーマンセルの面白さを最初に感じたのはトミーとマツの男性2人組でしたが、ダーティペアを経由してプリキュアシリーズに心が動いていったのは必然です。なんでって、可愛いから。可愛いにカッコいいと面白いが組み合わされば無敵でしょう。

東映アニメチャンネルに加入して1か月あまりの間にプリキュアシリーズを170話以上見て、1話約3円のペースで脳内が改造された今、キュアブラックキュアホワイトの偉大さを20年越しに理解しました。初代49話をとっくに見終えて、現在はMax Heart20話まで進んでます。その手前でGo!プリンセスプリキュア魔法つかいプリキュア!を計100話見ました。Goプリは特に心動かされましたので長々と感想を書いてます。

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それからの初代ふたりはプリキュアの圧倒的な存在感に感化されて、半分見終えたところで感想を書いてしまいました。

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C.C.みたいなお姉さん系の声しか知らなかったゆかなさんが想像以上にプリキュアなんです。技名に声を張るキュアホワイトはほのかちゃんとは別人のように雄々しく、日頃からボーイッシュでカッコいいブラックと肩を並べるシーンに、他に適切な言葉が見当たらないのですが、ときめきます。うっかりしてると恋しちゃいそうなほど。

 

プリキュアシリーズには、ダーティペアにそれほど感じなかった成長要素があります。難しい言葉ではビルドゥングスロマンというそうです。画面の中のプリキュアたちと同時に、視聴者も一緒に成長してゆく、程度の意味だとお考えください。

古来、アニメにおけるビルディングスロマンとは、巨大ロボットを操る少年の心の成長を指していました。人間のような鉄人28号との交流を経て、まっすぐに成長する正太郎少年が一番わかりやすい。

最初の転機となるのは機動戦士Zガンダムにおけるカミーユ・ビダンです。戦いに明け暮れた末に勝利したかに見えて、壊れてしまった彼の心は戻らない、そういうこともあるのだと提示した富野由悠季さんは、アニメを大人が見るものにぐっと近づけました。

その次はやはり新世紀エヴァンゲリオンにおける碇シンジですかね。彼は本当に成長しないんですよ。いや、してるんかな。わかりにくいんです。14歳くらいの少年は承認欲求と性欲がぐっちゃぐちゃになってる異様なものでしょう?と提示した庵野秀明さんは偉大。

プリキュアシリーズの場合、見ているのはほぼ幼児でしょうから、お子たちが社会に出る手前で知るべきこと、大きくなるとはどういうことなのかをしっかりと描いています。それに気づくのは大半がおおきなおともだちで、ほとんどの幼児とごく一部のおおきなおともだちは変身道具=おもちゃに目がいくんでしょうけど。

特に初代は、中学生女子が悩んでいそうなことと比較して圧倒的に過大な、世界平和を守る重い使命が併立しています。プリキュアにとっては夏休みの宿題も日常を脅かす敵を倒すことも、どちらもすんなり解決できないという意味では等価なのです。

普通でありたかったのにそれを許さないプリキュアの使命と向き合う中で、彼女たちはその等価性に対する認識はそのままに、強大化する敵と日々戦いながら、これからの自分達が何をしたいのか、どうしたいのかを考え続けます。成長途上の少女が不恰好でも答えを出そうともがく姿に、いい歳こいたおっさんたちは感動するのです。

 

お子たちがプリキュアの可愛らしさやおもちゃに惹かれ、おおきなおともだちはそれに加えてカッコよさ、生きざま、そして各エピソードに込められた成長要素に反応して大喜びしているのが、現在のプリキュアシリーズの愛され方なんじゃないかなと勝手に思っています。

同期「肌の露出度が全然違うやろ」
じぇ「悔しいが認めざるを得ない」

素晴らしかった

そして先ほど、1年間リアルタイム視聴をほぼ欠かさなかったひろがるスカイ!プリキュアがフィナーレを迎えました。今は胸いっぱいで考えがまとまりませんので後日感想を述べます。初代へのリスペクトが随所に出た良作である、と今なら言えます。ソラちゃんカッコよかったなぁ。

色々勝手なことを書きましたが、私は誰かの成長を見るのが楽しいんだろうな。