working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

ところでギャルってなに?

※通説的な諸文献などにあたらず、ただ自分の経験と考えだけで書いておりますので誤りも多数あると思われます。ご了承ください。

 

皆様こんにちは。前回、ギャルについて書いた後、もうちょっとギャルを掘り下げてみる気になりました。

 

私の人生で初めてギャルという言葉を聞いたのはたぶんオジンギャルです。

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♪オジン、オジン、オジンギャル~。なんちゅう歌だ。NHKの歌謡ホールか紅白で歌ってたんです。実家で見る歌番組なんて限られてましたからよく覚えてます。それにしてもサックスがブルー・コメッツの井上大輔、ギターがニューブリードの三原綱木って時点ですげぇな。この前後に復活結成したピンクレディーが2年目のジンクスを歌ってたのも覚えてます。私はミーちゃん派でした。あの格好見てるとダーティペア思い出す。

オジンギャルが何なのか、正確には知りません。中尊寺ゆつこのイラスト?漫画?と合わせて流布していたような覚えはありますが定かではありません。不確かな線を手繰りながら色々見ていくと、流行語になったのはどうやらオジンギャルではなくオヤジギャルのようです。以下に述べるオヤジギャルの像は私の推論です。

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イミダスとか知恵蔵とかよく買ってたな。現代用語の基礎知識は今も生き残ってるんだっけ。英語の先生がよく言ってましたわ、言語は流動する。新しい辞書を常に持たないといけない。古い辞書、手垢まみれの汚れた辞書を後生大事に使う人間は言語を根本的に誤解していると。なるほどそういうものかと思いましたわ。

だったら受験英語も言語の流動に対応しろよ、6年習って満足に話せない授業なんぞ教育って呼べるんかよ、SVOCってなんだよICBMの方がよっぽどこえーよ、なんぼ文法知ってたって話せねぇんじゃ意味ねーよ、オレら毎日ネイチャーの論文読むんじゃねーんだよ日常会話がしてぇんだよ、いつまでもナンシーライクストムじゃねーよこいつらデリカシーなさすぎだろとも思ってました。

 

……オジンでもオヤジでもどっちでもいいんですけど、流行語の寿命はえてして短く、実際に流行したかどうかに関係なくメディアのマスターベーションの側面もあるので、その程度に思っておくことにします。

インターネットには「おじさんくさい言動をとる若い女性を指す語」と定義する記事がありますが、これは不十分です。あの頃のオヤジギャルは酒かっ食らうわバクチ打つわタバコも吸うわで、言動のみならず趣味嗜好生活態度も含めて、中年を過ぎたおっさんたちの聖域に踏み込んでくる女子をそう呼んだのだろうと思います。

私はその頃ガキでしたので、ギャルとの接点なんてありませんでした。オヤジギャル以外にもギャルはいたと思うのですが、あの頃の常識としてギャルはふまじめな成人でした。だからオヤジギャルにもソルマックを売るのです。見た目が成人女子なだけで中身がおっさんだから。そしてそれ以外の生態を営む同世代の女子たちはおそらく、ギャルとは呼ばれていなかったと思います。あと、渡辺文雄さん懐かしいなぁ。

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なぜなら、ギャルという言葉がはらむ退廃性は単なる呼び名ではなく蔑称に近いものがあったからです(個人の見解です)。普通の家のギャル世代は働きはじめようが家事手伝いだろうが無職だろうが「お嬢さん」でした。生活態度のなってない女子たちに媚びるようにオヤジギャルという名が与えられた結果、世の中もそういうものだと思っていた程度のことに過ぎないのです。

 

ところが、90年代後半あたりからギャルの下限年齢が下がりました。

これは経済の縮小、いわゆるバブル崩壊が深く関係しています。仕事のパフォーマンスとほぼ無関係に毎年のように待遇が右肩上がりで、金回りも威勢もよかった一般職(いわゆるOL)のオヤジギャルはバブル崩壊後その羽振りのよさが吹き飛び、生活防衛に奔走することになります。一部のギャルたちは結婚によって安定を得ようとし、あるいは毎夜飲み歩くだのギャンブルに精出すだの、一般に無駄、嗜好と思われることをバッサリやめたのです。

ただし一部のノンキャリ国家公務員とインフラ企業の女子を除く(全員ではありません、ほとんどです)。景気感応度の鈍い職種においては90年代が終わろうとする直前までバブルの余韻を引きずっていました。バブルを駆け抜けた60手前の女性たちと会話しているといまだに感覚のズレを覚えます。

 

オヤジギャルと入れ替わるように、超ミニスカートにだるだるのルーズソックスという、同世代の視線では「可愛い」、異性の視線では「過度に性的」な女子高生が登場しました。まさにひいるちゃんのようなファッションです。……ひいるちゃんについては前回書きましたので、誰それって思った方は以下の記事をどうぞ。

working-report2.hatenablog.com

ザ・ギャル

彼女たちはセンスを競っているのかスカートの短さを競っているのか分からないくらい露出的な一方、金遣いには非常にシビアでした。制服は支給品を改造し、化粧品や小物はごく安価で済ませ、なにより酒もバクチもタバコ……はやってたかもしれませんが、派手な浪費をしない、安上がりなギャルだったのです。

そんな若すぎるギャルの台頭をどう受け止めるのか。未成年の学生をギャルと呼ぶことへのささやかな抵抗感として「コギャル」の呼称が生まれたと私は思っています。

そもそもギャルという呼称には先述した通りの退廃性、男性から見て性的な期待を催す響きがあり(個人の見解です)、事実、金回りが停滞した不景気の中で若さを前面に売りにする、貞操観念の死んだ金儲け手段が認知されるようになりました。フェチズムにおけるブルセラ犯罪白書における援助交際という、負のイメージを背負う言葉もこの時たくさん生まれました。若さは売れる。色々な意味で売れる。性的嗜好の低年齢化を招いた女子高生のギャル化を表す言葉としてコギャルはぴったりだったのです。

 

この年齢になって思いますけどね、女子高生って子供ですよ。実物はだいたい子供です。実物じゃない女子高生とは何のことなのか、「女子『校』生」という何を指すのかよく分からない書き方になるのはなぜなのかは各人のご想像にお任せします。

 

現在、ギャルと聞くとだいたい女子大生が限界かな……(あくまで個人の見解です)。だから「コ」が外れたのでしょう。オヤジギャルは時代の徒花だったのです。「ギャルみこし」がそうなってないのは、それは、実際、ギャルがかついでるからでしょう。そういうことにしておきましょう。

galmikoshi.com

「ギャルは生き様」なんておっしゃる方もおられるようですが、それはあなたの思う生き様であってギャル全般に通じる生き様ではないよねと心の中で思いながら顔だけ頷いて話聞いてます。

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ギャルとは、年齢とファッションによって、他人の評価として規定されるものです。これは絶対です。かつて退廃的に思われたギャルという言葉がここまで市民権を得て自称すら許される過程には、メディアを介してポジティブな印象操作が加えられてきた「オタク」に通じるものがあります。

30年前のオタクと今のオタクが違うように、30年前のギャルと今のギャルも違うのかもしれませんが、それは知識やトレンドの差であって、ギャルを自称するために定義を都合よく引き延ばす(とくに年齢!)ようなものではないと私は思います。

あと、ギャルはオタクに優しくなんてないから。眼中にないだけだから。

この記事の中で赤荻瞳さんが言わんとしている自由な生き方には、本来遊牧民を意味する「ノマド」のような他の呼び名があり、それが若さとルッキズムの最右翼たるギャルと結合しているに過ぎません。ギャルのあり方に自己肯定的すぎる価値観を持つのは自由ですが、それが普遍性を持つ話なのかどうか、声の大きい人間の話を鵜呑みにせずよく吟味する必要があります。

 

最近の私の願いをそのまま書いたら腰折歌になりましたので書いときます。

史上最高齢

 

あげはちゃん はやくへんしん してください
ぼくらまいあさ まちぼうけです

かつてないギャル感