working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

祝福と呪いとリコメンド

Meis Clausonさんは日本人という衝撃の事実を知ってから、Evan CallさんもKevin Penkinさんもニール・セダカさんも本当は日本人なのではないかと疑っているgentlyです。

 

私の職場は少人数ですが、60歳を過ぎて外部から来られた課長がいます。お察しのつく方はお察し通りで、お察しのつかない方は私がどれだけ制度の公正性とか公平性とか必要性を説明しても人が変わったかのように批判から激怒にエスカレートするので詳しくは申し上げませんが、大変ちゃんとしたデキる方です。現職場に越して以来この課長とは席が近いのでよくお話をして(逆に社内風土に染まりきった人とお話しするのが最近とてもつらい)、私生活も趣味もすっかり開けっぴろげになったころ

 

「なんかおすすめのアニメありませんの」
「うふふそれきいちゃう?いまなら『メイドインアビス』ですね」
「ほなそれ見ますわアマプラで」

 

金曜日のいつも通り泥酔した酒席のことだったので適当に流して終わりかなとその時は気にも留めてなかったんですが、月曜日に出勤してみたら

 

「ちょ、あれ、どないなりますのん!」

「え?あ?あー!えーと、んなぁ~!」

 

最近初孫もお生まれになって、幸せかつ静かに暮らしておられる課長が、土日の貴重な時間を奥様共々メイドインアビスの劇場版前後編に費やしたと。オタクに分類される私たちですら、アビスは1日1時間にしないと呪いを受けるというのになんて精神力だ。憧れは止められないとはよく言ったものだ。実に度し難い。

 

というわけで間髪入れずに「深き魂の黎明」ブルーレイをお貸ししたところ、即日、今度はスマホ宛にメールが飛んできまして

 

「ブルーレイは音と映像が全然違いますな!明日もう1回見るんでしばらく貸してください」

 

二つ返事でOKしてからディスクが帰ってきたのは1週間後でした。聞けば、

 

・通しで4回見ましてん。
・間に「マルルクちゃんの日常」を挟んで耐えた。
・あの子ほんまにかわいそうでんな。あいつほんまに父親か。
・次は映画ですか。あ、テレビですか。いつ?まだ決まってませんの。
・テレビは13話ですか。見直そかな。前後編は展開めちゃ早かったんですわ。

 

私ですらブルーレイが届いてまだ2回しか見ていないものを、1週間に4回。高尚かつ優雅なセカンドライフを送るはずだった課長を、屍山血河魑魅魍魎のアニメオタクワールドに手引きしてしまった。さらには天の配剤なのか何なのか、大相撲9月場所で優勝を決めて大関に昇進した正代関がテレビのインタビューでメイドインアビスにいたく感動したと話していたらしく

 

「正代も度し難いでんな、ははっ」

 

最近の課長は流行もあって「鬼滅の刃」を1日2話ずつご覧になっているそうです。私が完全にスルーしてしまった竹輪くわえてる女の子の話です。セクシー女優(個人的に最後のセクシー女優は杉本彩さんだったと思いますが今は関係ない話です。最近のこの言葉の使われ方は誠に度し難いですな)の渚みつきさんがその筋のビデオでコスプレしてた鬼滅です。いや、あっちは鬼詰だったか。その流れで「キメハラ」という言葉も出てきましたね。私も別フロアですが出向元の従業員から受けましたよ、キメハラ。麦わら一味、恋ダンス、倍返し、前前前世渡部建……人類は何度、愚かな歴史を繰り返せば気が済むのでしょうか。

 

 

「鬼滅って面白いよね。え?見てないの?へぇぇ、フフッ」
フタコイオルタナティブニニンがシノブ伝まなびストレート!と空の境界Fate/Zeroとセキトモ見てから同じこと言えるか出直してこいやにわかがあっち行け」

 

と思いつつ「ヘーソーナンダーコンドミテミマスヨー」て言っちゃいました。作品には何の罪もないのに、「あなたのリコメントがきっかけで見ました」とは死んでも言いたくないと思わせる負のオーラがあふれ出している。キメハラの本質は誰かに何かを勧める行為そのものではなく人間性です。ちなみに私が辛抱したセリフは老害マウントと呼ばれるものです。何度も言いますが人間性です。

 

話を戻して、あまり課長のメンタリティに負荷をかける作品ばかりお見せするのは生活習慣上よろしくないと思います。内心、次はヴァイオレット・エヴァーガーデンをお勧めしようと思ってたら、いつの間にかご自分で作品を選ぶほどになっていてお父さん感慨深いような寂しいような。というわけで

 

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夏海ちゃんかわゆそす

放課後ていぼう日誌、おすすめしましたが今のところ課長から感想リプライがありません。なかなかうまくいかないものです。