working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

さあ、民主主義を始めようか。

皆様こんにちは。仕事と春アニメとお酒におぼれている間に統一地方選挙の前半戦が終わってしまいました。大阪府知事選と大阪市長選では日本維新の会(以下、維新)候補が圧倒的大差をつけて勝利し、反維新・カジノ反対を掲げた自民党大阪府連(以下、府連)とその他ゆかいな仲間たちは大敗を喫しました。

引用元:NHK開票速報サイト

大阪府知事選は2位候補に対してほぼ6倍差。

 

引用元:NHK開票速報サイト

大阪市長選はダブルスコアです。反維新系をまとめるはずだった支援団体のアップデートおおさかはこの選挙限りで解散するでしょうが、一切のまとまりを欠いた選挙戦と、その経緯がストレートに表れた結果を総括、反省しないことには、また次の選挙で同じ結果を繰り返すことになるでしょう。

 

府市両議会においても維新が議席過半数を獲得し、これまで市議会で政策協力を取り付けていた公明への配慮を必要としない勢力図に塗り替わりました。選挙結果を受けての記者会見で、維新の馬場代表は公明との関係について「リセットする」と表明しました。どういう意味か考えるまでもなく、今後地方国政問わず各選挙区の候補者擁立は遠慮なくやりますよ、公明議席に配慮しませんよということです。

リセットといえば平原綾香

 

今回、私はいずれの投票用紙にも維新の候補名を書きました。ちなみに8年前、3年前の「大阪都構想住民投票ではあれやこれや考えて反対票を投じました。

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その後こんな感想も書きました。

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ねじれた投票行動に見えますが、自民支持層の私ですら府連の動きはおかしいと言わざるを得ませんでした。以下、字数と私の根気が許す限り感想を述べます。

 

今回の選挙戦には2つの争点がありました。

 

①10年以上続く維新政治への評価

夢洲IR誘致への審判

 

①について、私は維新をそれほど高く評価していません。市財政に関しては関、平松両市長の時代から、その危機的状況を受けて対策がなされ(市長たちの功績かどうかは知りません)、成果が維新の首長となってようやく表れ始めた折、まるで自らの手柄であるかのように言い始めた維新を知っているからです。

子育てや病院の統廃合、西成区周辺の事業誘致や街区整備についても評価はニュートラルです。子供が育てやすかろうが何だろうが、府内の公立病院が増えようが減ろうが、西成がきれいになろうが汚かろうが私の生活に何ら直結しませんので。

ただひとつ例外として、自分の暮らしに関係する部分では、やはり梅田北ヤード土地の再開発事業は本当によくやったなと思います。ただ、維新がどれだけ注力したかは知りません。

 

②については、府市の首長が連携して進める状況であればこそ実現したもので、開発予定地の夢洲は30年近く前から管理費を垂れ流してきた大阪の負の遺産であり、この用途に道をつけた維新を高く評価しています。たとえ土壌改良に府市の税金が投入されるとしても、ただでさえ金が流出しているだけの現状を変えるためにやるべきだと思います。

昨日の報道によると、国が事業認定する方向で調整に入ったとのことで、2029年の開業を目指して今後本格的に動くことになるでしょう。選挙結果が出るまで待ってたんですかね。ちなみにIRとはIntegrated Resort、カジノを含む統合型リゾート施設の略称で、カジノだけが作られるわけではないことをここで強調しておきます。

既存のありようを変え、それによって成果が出たかのように見せる、その手法において維新の発信力は極めて優れている。これが私の維新評価です。

 

これに対して、府連をはじめとする反維新勢力は何をしたか。大阪市を分割し特別区に再編成する「大阪都構想」を反対で押し切って以来、なんら具体的な成果を伴う話を聞きません。それもそのはずで、反維新勢力のメッセージは維新が嫌いなことだけ伝わって来るものの、大阪をどうしたいのか、肝心の将来構想が見えてこなかったからです。

民意は不確かなようで敏感です。2年前の衆院選19小選挙区は維新に庇護された公明を除いて全敗(うち2人は比例復活)、その一方で比例近畿ブロックでは4年前の大阪市長選に敗れた候補が当選するなど、市議会勢力と府連の間に何らかの因縁が残ったように見えました。昨年の参院選も定員4に対し候補を1人に絞ったにもかかわらず維新がトップ当選のうえ2議席を確保しています。

維新が強いのではなく、反維新勢力が弱すぎるのです。繰り返しになりますが、大阪の将来について、具体的なメッセージが一切聞こえてこないことが何よりの問題なのです。

 

その最たるものが、IR事業予定地の夢洲にディズニーリゾートを誘致するという謎の主張です。仮にも府連の上位組織である国政の自民党本部および岸田首相を頂点とする政府主導のIR事業を「カジノ」呼ばわりしたうえ、その大阪誘致に反対(より正確には住民投票の要求)、その代案として急浮上してきたのがディズニーリゾートでした。

候補者のプライバシーに十分配慮しました

……ちょうどね、はてなブログアドウェアに上がってきたんでバナー画像保存しといたんですけど、子供向けに聞こえのええことやったらなんでもよろしんか?て言いたなりませんか。側近は誰も「おかしんちゃいますこれ」思わんかったんか。

USJとの協定の存在も知らない府議候補が思いつきで書いた公約まがいの何かを自民党の名前と一緒にポスター化したときはさすがに撤去するよう指示が出たそうですが、当該候補のポスターは選管の掲示板に貼ってしまった後だったのではがすことも出来ないという、笑えないギャグみたいでした。一定以上の知性がある有権者を舐めているのかとすら思いましたわ。

夢洲の造成が始まった頃の大阪府市は首長も議会もがっつり自民系(例外は横山ノック)が台頭していました。当時盛り上がっていたのが2008年夏季五輪の誘致活動で、見事に失敗した後は物流倉庫しかない無駄な島です。

諸先輩方がこしらえた負の遺産をどう処理するのがまっとうなのか、年々少しずつ沈降し続け、南海トラフ地震の危険性が長年指摘され続けているベイエリアの人工島に企業連合が手を上げてIRやりますって言ってるのをもう少しまじめに考えろと言いたい。

 

 

……府連の方針はいずれの選挙も「自主支援」でした。市長候補は正統派の自民候補でしたが、府知事候補は府連の候補者探しが難航したことで意見のかみ合わない人物を立憲民主、共産ともども非維新系で支援するという、選挙の素人には何のこっちゃ訳の分からん体制になりました。

ところであの人法学者なんですか。石原慎太郎憲法学者小林節の共著本で「土井たか子憲法学者というのは本当ですか」って言ってましたけど、今その気持ちです。

市長候補はとんだとばっちりです。自民の党派色を消すためにあえて府連も推薦せず、わざわざ自民会派を離党させました。

明らかに呉越同舟な両氏の支援団体がアップデートおおさかです。支援する財界人としてサクラクレパスHDの社長がいましたが、このリーフレットPDF末端に名前が出ている人を私は誰も知りません。

https://update-osaka.jp/pdf/update-osaka_min.pdf

反維新勢力を結集させたいなら京土会の風雲児、藤井聡教授を呼んでこないと!あの人以外に維新の政策をぶった斬ってくれる知的エリートはいませんよ!もっとも、都構想のときだけでしたけどね!

 

府連は全く勝算がないことを見越してたと思います。会長の宗清皇一衆院議員からは「結果を重く受け止める」旨の発言がありましたが、市議会勢力に対する国政議員の意趣返し、つまり「先の総選挙で大敗を喫したのはお前らが都構想に反対するからだ」みたいな思いが少なからずあるのではないかと。2019年の大阪市長選で落選した元市議の柳本顕衆院議員は比例区で楽々当選したのに、宗清議員を含む小選挙区の候補たちが全敗したことを恨んでもおかしくありません。だからあえて深入りを避けた。

 

 

国政の自民党と、維新、府連の立ち位置は微妙です。安倍・菅ラインと維新の橋下・松井ラインは改憲精力として気脈を通じていましたので、国政の自民党は大阪での維新台頭を問題視しませんでした。

しかし、安倍元首相は凶弾に倒れ、菅前首相も党内の主流派から距離を置きつつある昨今、維新は自民との関係を見直す段階に入ったと考えられます。

橋下氏は初回の都構想が否決された8年前に政界を引退し、そして今春、松井元市長も引退しました。次世代の吉村・横山両氏は今後、改革政党としての独自色をさらに打ち出し、政権与党の脅威となる存在を目指して勢力伸長を図るでしょう。

その一方で府連は今後、反維新の野合を抜け出すことに専心するでしょう。というか、そのくらいの良識と矜持はあるだろうと信じたい。現状の大阪自民は支援に値しません。維新ほどの独自色もなく、現状を打破する力もなく、本来自民がやるべき大型政策を全て維新に持っていかれてしまいました。財界もそっぽを向いてます。自民であって自民でない現状をどうやって抜け出すか、それを誰が一生懸命考えるのか、今後の見ものです。

 

 

……長々とこんなことを書いたのは、私の趣味です。選挙は一般人の私たちが政治参加できる唯一の機会であり、確かに大きく物事を変えることは難しいものの、参加しないことには何も変わる可能性がないことを知ってほしいからです。

大型選挙の時は投票所に行って、夜8時からの開票速報を見ながら誰が受かったの落ちたのと言い合いながら飲む酒がまたうまい。そういう政治参加の仕方もあるのです。もちろん深く考えて候補者を決めるのもいいですし、この人好きとか信頼できそうとか、軽い気持ちで選んだって構わないのです。

大阪のダブル選挙に限らず、今回の統一地方選挙前半戦の投票率は軒並み50%を下回っています。危機的ではなく危機です、民主主義の。私たちの暮らす街のリーダーを半分以下の人で決めていることになります。これでは本当の意味で信任されているかどうかも怪しいものです。

 

自分たちの未来をよくしたいなら、文句を言う前に選挙へ行きましょう。極小であっても、民意の一端をきちんと示しましょう。私はそのために行くのです。