working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

住民投票感想文

等価交換と聞いて思い浮かべるものは人それぞれあると思います。錬金術師、パチスロ、用地買収。意味広すぎだろうこれ。

 

ある価値に見合うものを差し出すことによって取引が成立し、後腐れなく物事が処理される世界は美しいのだろう、となんとなく思っていた私の平和ボケ脳天を叩き割る「精算」概念。「上昇負荷」以上に恐ろしい代物でした。表紙がネタバレを催すので写真は掲載しません。「メイドインアビス」最新9巻でつくし卿は我々をどこまで痛めつけるのだろう、そして我々が差し出せる価値は何だろう、そもそも価値とは何だろうと脳みそが茹で上がりそうなことを考えてるうちに読み終わりました。

 

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まぁ、3巻の監視基地(シーカーキャンプ)から日曜午後を全部費やして突っ走ってたら脳漿爆砕するほどの負荷がかかってもおかしくないわけですが。

 

テレビシリーズ2期が待ち遠しいねぇと飲み仲間とくっちゃべりながらキャスト予想を繰り広げた日曜の夜、大阪市を解体して4つの特別区に再編する、いわゆる「大阪都構想」は反対多数により否決、廃案となりました。私のスタンスと意見はこちらで書き尽くしましたので、興味ある方はご覧ください。だいたい、行政機構の片側を言いなりにするためにつぶしてしまえ=改革だ!という発想自体危険すぎる。つくし卿の理知を超えた世界が顕現しかねない状況だった。

 

あぁ、でもひとつだけ、これは書いておこう。NHKの開票速報が反対多数確実を打ったのが22時40分過ぎ。NHKが出口調査結果(この時点では賛否ほぼ拮抗以外言えませんでしたが)を発表したのが20時、開票が始まったのは21時で、ふつうの選挙なら開票が始まる前に情勢が分かるところ、今回も開票終盤まで情勢が見極められないほどの大激戦となりました。事実に基づく情報が少なく、特別区設置後の財政試算が賛否両派で真逆の結果を示す状況下で、良識ある大阪市民は大いに悩み苦しみ抜いたと思います。

 

これだけ拮抗した民意を前にして、自民党大阪府連で孤軍奮闘していた北野妙子市議は、5年前の柳本顕元市議とシンクロするように「重く受け止めている」と記者会見で答えたことを打ち消す勢いで、投票日のちょい手前まで旗幟を明確にしなかった左藤章衆院議員、太田房江参院議員が壇上に現れたときは心底呆れ返りました。キミたちは大阪がこうなっている間、ドコでナニしてたのかね。

 

彼らにも言い分はあるでしょう。菅義偉首相が大阪維新の会改憲をベースに気脈を通じていることから表立って中央に反抗する運動が出来なかった。国政と地方の足並みが揃わないこと自体大問題ですが、いったんそれは置いといて、

 

だったらそのままでいてくれよ。

 

結果が出てから「官軍でございます」な面下げてそこに座ること自体、許されるべきではない。これは北野さんと共産党の山中智子市議の大車輪の活躍あってこその結果であろうと私なんかは思っています。少なくとも大阪都構想について積極的に情報収集していた私の耳目に、国政に関与するあなた方の声は何一つ届かなかった。次回の国政選挙において我々市民の投票行動を左右するレベルで、彼らは反対の意思表明において積極性を感じられなかった。

 

選挙公示以前からの長丁場で政治信念をかけて運動していた北野さんたちを、せいぜい党として労ってあげてほしいものです。時節柄宴会は難しいでしょうが、少し長めのお休み取って旅行でも行ってきはったらええねん。

 

やり方とセンスはともかく、ヒョウ柄着て街頭演説の辻元清美衆院議員と、社会民主党がどの程度の影響力を有しているのかはともかく、直前に大阪入りしていた福島瑞穂参院議員と、道頓堀付近でゲリラ遊説していたらしいメロリンキューと、一歩間違うと賛成派の攻撃材料になりかねない肉弾三勇士的な周辺の話題にも事欠かない住民投票でした。

 

ひとつといいながらすみません、もうひとつ。今回、反対多数の結果を受けて思い出したのは、大阪維新の会の支持者であろう若年世代のボランティア活動です。家の近くの最寄り駅で、夜遅くまで広報チラシを配っていた彼らにも勿論政治信念があるでしょう。明るい未来を切り開くために大阪を良くしたいというその気持ちは本当に尊いと思います。これからの大阪をどうしていくのか、彼らのための政治であってほしいと切に願います。エゴで反対した私とは比較にならん清々しさだ。賛否を越えて彼らの活動に敬意を表します。

 

ほんっとうにすみません、最後にもうひとつ。京都大学大学院の藤井聡教授(京土会の利権代弁者と言われていますが、都構想に対する意見の中で最も芯が通ってました)に「悪魔と手を結ぶことすら辞さない」とまで評された公明党は、山口代表まで投入したのに結果が出なかったことについてどのように総括するのでしょうか。NHKの出口調査では支持層の半分が反対に「寝返り」(あ、寝返ったのは公明党大阪府本部ですね、失礼しました)、これまで都市伝説のように語られてきた創価学会としての集票能力の陰りは明らかです。「かんさい熱視線」2回ご出演の肥後洋一朗府議は何を話しているのか、ご自身も理解していないんじゃないかと思いました。

 

行政機構のあり方において何が最良かなんて、正直誰にもわかりません。10年後の世界ですら誰にも見通すことはできません。今回の住民投票を通じて大阪市民や内外で関心を持った人々に何かメリットがあったとすれば、大都市のあり方や政治に対する関心を引きつけたことと、自分事として市民が考えるきっかけを与えてくれたことぐらいでしょうか。ずいぶん高い代償を払った気もしますので、そうでも思わないと割に合いませんわ。