working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

私の笹の葉狂騒詩

皆様こんにちは。通勤を2時間前倒しして1週間経ち、1日の起床時間が伸びました。夜10時前になると眠くてたまりません。でもよく思い出してみたら早起き以前からそうでした。

きんぎんすなごってなんやろね

さて、先週金曜は七夕でした。1年に1度、ミルキーウェイ・天の川にカササギが身を挺して橋を作り、神様によって離れ離れにされた彦星と織姫が逢瀬を楽しむ日であり、その日に願い事を書いた短冊を笹の葉にかけて願うと叶っちゃうよ?というのが一般に流布している「七夕伝説」だろうと思われます。

……伝説というのはあいまいな要素で成り立っているもので、この話の荒唐無稽ぶりにツッコみ始めるとキリがないのは分かっているのですがやらせてください。私この日大嫌いなんで。

七夕の節句を「七夕のセックス」と勘違いしてる人間が一人でも多く撲滅されることを心より願いながら、誠心誠意、懇切丁寧に呪いながら書きます。

 

万葉集新古今和歌集に収録されている大伴家持の歌にこんなのがあります。

 

かささぎのわたせる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞふけにける

 

意味は詳しい人がネットにたくさんいます(あってるかどうかは知らん)ので任せるとして、家持が生きていた奈良時代には七夕伝説があった(より正確には、中国から七夕伝説が伝来した)ことを示す歌です。カササギは鳥です。鳥が橋渡しするって一瞬どういう意味かなって思いますよね。

彦星も織姫もいい大人のはずなのでこうはなりません。

理由は存じませんが、カササギが小さい個体をいくつも呼び寄せて、羽を伸ばして天の川に橋をかけるのだそうです。人間に例えるとなんですか、僕を椅子にしてください!みたいな感じでしょうか。そこまでしてあの夫婦を会わせねばならない義理か弱みでもあるんでしょう。気の毒な鳥だ。

 

そう、肝心なことを言い忘れてました。あの二人は恋人ではなく夫婦です。私のうろ覚えでは確か、もともと働き者だった牛飼いと機織りの男女が結婚して以降、労働をほっぽり出して神前でイチャコラし過ぎたせいで神の嫉妬だか不興だかを買って引き離されたはずです。人は易きに流れ、そして大古の神は人間以上に人間くさいですね。

伝承とか伝説の類って、時の経過と人知の低下とともになんかしらロマンチックな方向に流れがちです。実際のところは夫婦が1年1回、神のような裁判所の命令で、養育義務か慰謝料が関係した何かで顔を合わせるのと大差ありません。焼け棒杭に火が付いた程度の冷めた気分で眺めていられます。

 

そんな、別居夫婦の逢瀬の日に短冊に願いことを書いて笹の葉に吊るすに至っては、私には意味が分かりません。労働放棄してズブズブの関係になるような男女が、地上の低俗かつ短命な生物の願いなど聞き入れると本当にお思いですか?

なぜそんなことになったのか、ベガとアルタイルは地球から果てしなく遠いこと以外は笹の葉ラプソディも教えてくれませんでした。それでも涼宮ハルヒは願い事を書けというのですから全能神は気まぐれです。

 

……その認識が先にあったにもかかわらず、十数年前の企画部門で「七夕ゆかりの自治体のゆるキャラ同士を会わせちゃいましょう」みたいな集客イベントを考えついて、自治体職員さんが「そんじゃくまモンにも声かけます」みたいな話の流れになりましてね。

当日はハコのキャパを上回るとんでもない人数が押し寄せ、予定通りの動きが出来ませんでした。くまモン人気すげぇな。

直後、ゆるキャラのランデブー地点にマスコミを待機させてた広報課長に「聞いてた話とちゃうやないかお前⚫︎すぞ」くらいの勢いで激怒され、安全確保のために職員がてんてこ舞いになったことを現場の課長にどやしつけられ、自治体職員さんには真夏に長時間の着ぐるみ運動で命の危険にさらしたことをおわびしまくり、挙句の果てに企画の上司からは「計画が甘い、なぜもっと安全にできなかったんだ」と叱り飛ばされました。お前の監督責任どう考えてるねん。そこまで言うんやったら未経験の人間にこんなことやらすなよ。

打ち上げで企画実施に動いたメンバーの課長は

「こんなもんやて、あんだけ集まってカネ落ちたんやったら上々や、怒る奴は怒らせとけ、汗かいとんの俺らやぞってな」

慰めのつもりで言ったのでしょうけど、現場の汗も冷や汗も脂汗もかいて怒られまくってるの私だけですからね?

 

……私の七夕認識がどのようであるか、これ以上の説明は要しないでしょう。毎年7月は憂鬱です。やっと七夕が終わったと思ったら、大阪の風物詩ということになっている天神祭が始まります。4年ぶりの船渡御開催で、表も裏も関係者の鼻息の荒さを日々感じております。私の家からは花火が割とよく見えるんですよ。だからなんだって話ですけど。

7月7日と25日は、地上にわいてくる猿の顔を見ずに一刻も早く家に帰って安静に過ごせますように。そしてなにより、現場でアクシデントが起きませんように。それくらいの願いはあの夫婦でもかなえてくれるでしょう。