working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

奥能登の旅(後編)

皆様こんにちは。最初は土曜日に続きを書こうと思ってたんですけど、MGS5のスネークのツノが伸び切った以前のデータを消してやり直し始めたら土曜日があっという間に溶けました。9時過ぎからやり始めて気がついたら飲まず食わずの23時。小島秀夫こわい。なんちゅうゲーム作るんや。

ついでに日曜の朝は疲労のあまり起きられなくて、今年初めてプリキュアのリアルタイム視聴を寝坊しました。未熟です。

 

1日目の旅程で話しそびれたことがありました。マルガージェラートというアイスクリーム屋さんに寄ったんです。おっさん4人で。すごく有名なんですってね。

私は基本的に甘いものが苦手なので、このときも塩味(奥能登の塩はなんか違うらしいことを同期がしゃべってたけどまたそのうち同じ話をしてくれるだろう)を選びましたがアイスクリームなめてた。なんというのか、コクとかうまみとか、言葉を越えた、名状しがたい奥深い味がしました。これが本物かって思いました。

 

そして、ゆうべはおたのしみでしたね。音がひっきりなしにね。

 

洗牌の。旅館に事前相談したところ、年季の入った卓と牌を貸してくれました。最近はやる人も少ないんでしょうか、萬子索子筒子の3姉妹と字牌が整然と詰められてました。なので返す時も整然と詰め直しました。

テレビゲーやらスマホゲーやらの麻雀は積みも配牌もドラも全部自動なので、いざ手積みでやると止まってしまうんですよねぇ。ゲーム上必要なくてもあの動きは毎回見せるか手を動かさないと仕組みを覚えられません。そしてなぜか自摸番が時計回りになってて凄まじい違和感でした。と通ぶって書いてますが私はこてんぱんに負けました。……書くまでもないことですけど、ノーレート禁煙禁酒の健康麻雀ですからね?

 

2日目に入りました。湯快リゾートは夕食も朝食もうまいので食べ過ぎます。一度ハマるとやめられない、それが湯快リゾート。腹パンパンになって最初に向かったのは輪島です。師匠がフル稼働で運転してくれました。

輪島と言えば朝市です。岩合光昭の世界ネコ歩き能登編で朝市の魚屋に出没するネコが寒そうにしてるのを見たことあります。残念ながらネコはいなかった代わりに、猫背のおばちゃんとおばあちゃんがたくさんいました。ほんの100m足らず歩いただけで、おばちゃんとおばあちゃんに勧められるがまま酒を5本買いました。

北陸は普段から厚い雲が覆っていると同期が言ってましたが、我々が日ごろの行いで徳を積み過ぎているせいか、朝から肌が痛くなるくらいお日様がサンサンと照りつける快晴でした。あまりに暑いので、涼しげなかけ流しのバケツに入ったラムネを売ってるお店でくつろいでたら地元の小学生女子グループがチャリで乗りつけてきました。そそくさと退散しました。

 

師匠「俺たちを見ても動じないとはなんて無防備な小学生だ」
じぇ「高徳の僧が野に座禅を組めば動物が自然と集まる的な」

 

都会ではあいさつしただけで声かけ事案の安まちメール発報です。「今日は暑いですね」なんて声をかけようものなら現行犯逮捕待ったなし。脱線ついでに、日曜日にドラッグストアでトイレ掃除用の紙ブラシ買った帰りのエレベータでギャル女子高校生2人組と乗り合わせたんですよ。日曜の昼間になんで制服着てるのか謎でしたが、その場の私は後から前からカツアゲ、おやじ狩り、言葉責めでもされたらどうしようと心配で生きた心地がしませんでした。

我々はこの旅で逮捕者を出すわけにはいかないのでリスクヘッジしたいだけです。ボクサッチー!ヨロシクネ!から逃げるように女子小学生からエスケープした我々の足は、すぐ近くの重蔵神社に向かいました。

 

師匠「あ、チャッピーだ!」
じぇ「ティッピーな」

チノちゃんが頭に乗せたら首が折れそうな福うさぎが鎮座しておられました。標札に「なでうさぎ」とも書いてあり、撫でると幸せになれるというので、幸せになりたい我々は撫でます。

3人同時に撫でると幸せも3分割される恐れとか考えたとしても、私たちはエリート中のエリートの慶應社中なので口には出しません。われら生まれた時は違えど、たぶん死ぬる時も違うのです。

境内にはあちこちに可愛らしい黒猫ちゃんの立ち絵がありました。あとで調べたところによると宮猫のタマ様というそうです。今回の旅で本物のネコを見かけることはありませんでした。

 

そこそこの時間を過ごしたのでもと来た道を戻っていくと、ラムネの店前には先ほどの小学生女子グループがたむろしていました。待ち伏せか?

左手の通り沿いにある輪島塗の製造販売をやっているお店に飾ってある25万円の塗り箸を見に入りました。天皇陛下が加賀屋ご宿泊のときに作った特注品の取り箸だそうで、黒漆に鶴の金蒔絵の圧倒的高級感、25㎝はあろうかという長い箸なのに、軽い。

我々を呼び込んだお店の奥さんの完全勝利です。見てみたら綺麗だし、お値うち感もあるし、お箸買っちゃいます。お土産用に大量購入したら、塗りの前段階ではじかれた生木のお箸も人数分くれました。

 

先生「芸術品を日常生活で使う国は日本だけらしいよ」

 

おそらく2日間の旅程で最もインテリジェントなフレーズです。その証拠に、誰もまともな返事が出来なかった。

 

師匠「最近のアイマスでは誰が一番好きなの?」
じぇ「響ちゃん以外では結城晴ちゃんがいいな」
師匠「あんたって人は少女も少年も見境なしか」
じぇ「晴ちゃんは女子だろう!響ちゃんもな!」
師匠「響ちゃんはどこがいいの?野生児じゃん」
じぇ「おめぇ、全世界の響推しに宣戦布告か?」
師匠「この世界に姫属性ほど美しいものはない」
じぇ「ロイヤルファミリーと結婚狙ってるのか」
師匠「眞子さまくらいならなんとかなるかもね」
じぇ「あの人はもう姫でもなんでもないだろう」
師匠「間違えた愛子さまだ!見た目が姫だね!」

 

       (しばし沈黙)

 

じぇ「……佳子さまのほうが姫っぽくないか?」
師匠「俺達の力で佳子さまはどうにもならない」
じぇ「愛子さまはもっとどうにもならねぇよ!」

 

せっかく引き上げられた知的会話レベルが地を這って穴掘ってるくらいまで落ちたころ、白米千枚田に着きました。

海沿いの棚田というだけでも凄いんですけど、絶景以外の言葉が思いつきません。波の音も風の音も美しくて、思わず動画も撮ってしまうほどいつまでも見ていたい景色でした。こういうときに観光の価値、わざわざ足を運んで見に来る価値を感じます。めっちゃ暑かったけど。

 

この時点で正午直前だったので、師匠と先生の飛行機の時間を考えると珠洲灯台まで回れる時間はなさそうだ、直ちに見附島に行こう、見附島で君は放課後インソムニアごっこだ、ガレ場渡ってる最中に海に落ちるまでがセットだと即決しました。

 

同期「男同士の旅は話がすぐ決まるから楽やね!」

 

今まで男以外の何者かと旅してた時はどんなだったのか、聞くと嫌なことを思い出させそうなのでやめました。ラスベガスの体調不良の話はシンガポールでも酒乱癖を発揮したうちの親父を思い出したよ。旅行って、ささいなことで急激に価値を失うんだって思い知ったよ。

 

じぇ「姫属性のキャラで好きなのいないのか?」
師匠「ラティファ様ね!甘ブリは最高傑作だよ」
じぇ「千斗いすずとエロい4人以外覚えてない」
師匠「高貴な可愛い女性は万人に刺さるんだよ」
じぇ「キュアマジェスティの蔑みの視線は最高」

 

車内は前日に引き続き電波アニメソングとプリキュアがほぼ交互に流れる私のプレイリストが爆音再生され、荒唐無稽な姫問答が続くうちにあっという間の見附島です。能登半島は想像以上に道路が整備されていて、半島の反対側まで1時間もかかりません。こりゃ電車が廃れるわけだよ。

ほんのり異世界感ある

……5月の奥能登地震で島の形は多少崩れたそうですが、アニメと変わらず不思議な姿をしています。デカい松島とでも言いましょうか。公園内の由来書には、その名のとおり空と海の間ならどこにでも現れる空海上人が登場し、社を作れの穴掘れの好きなこと言ってたみたいです。当時の技術で25メートルもある高所にどうやって登ったんでしょうね。

こんな感じ

見附島までは岩場で構成された通り道のようなものがあります。さすがにこれは人工物だろうと途中まで渡ってみたものの、結構危うかったので引き返しました。誰も海には落ちませんでした。

 

先生「実はさっきから靴がぐしょぐしょなんだわ」

 

落ちた人いました。

 

……テンションの高さのあまり昼飯を食わずにここまで来ました。飛行機の時間を逆算しながらまだ余裕があったので、無事ランチタイムを迎えることが出来ました。行先はもりもり寿司能登総本店。

変な時間に入店したのに少々待ち時間が出るほどの人気店です。コロナ禍以来、回転すしは寿司が回転しなくなり、代わりにレーン上を値札だけが回る方式になって久しいところですが、追い打ちをかけた醤油ぺろぺろ君とわさび君のおかげで世間はこの営業方式を許容できなくなりつつあります。もっとも、あんな奴らはそれなりにお値段の張る寿司店には現れないと思いますけど。

最新式の回転すしはオーダーする都度特急レーンで寿司が運ばれてきます。盛り合わせは店の人が運んできます。超合理的。

まぐろだけで腹いっぱい

マグロ5点盛りで1,500円オーバー。まぁまぁのインパクトです。湯快リゾートの朝食が依然威力を発揮していたので、これでおなか一杯になりました。

こんだけ食ったら昼いらんわ

 

……めしの終わりは旅の終わり。15時半ごろにはのと鉄道穴水駅で車を降り、花咲くいろは号を激写してから師匠と先生はのと里山空港に向かいました。

 

先生「心のデトックスが出来た!」
同期「次回の場所も決めとこか!」

 

みんなよっぽど楽しかったようです。なんとなく北海道の案が出てましたが、あんな広大な大地、車なしではどうしようもないので今回以上に師匠をこき使いそうです。むろん私も運転免許は持ってるんですが、いかんせん大津の職場から守山の漁協まで湖岸道路を運転したとき、降りてからサイドミラーを閉じてたのに気づくくらいなので非常に危険です。

 

今回の旅を楽しく過ごせたのは、メンバーに恵まれたの一言に尽きます。どこに行くかもさることながら、誰と行くかが重要です。生涯の友達が出来たことを思うと、慶應に行ったのも無駄ではなかったなぁと思います。師匠にはあれやこれや言いながら、全旅程の運転を強いてしまったことに感謝すると同時に申し訳なくも思います。もし北海道だったら次回も馬車馬のように働いてもらいますが。

 

師匠「次があるのか」
じぇ「当然だろう?」