working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

在宅勤務を送る詩(うた)

きのう、首都圏1都3県と北海道の緊急事態宣言が解除されました。業種によって各都道府県の独自基準に基づいて休業要請が継続され、感染第2波に警戒しながら徐々に経済活動の段階を引き上げていく一方で「新しい生活様式」というこれまでとは異なる暮らし方を求められており、スパッと今まで通りとは行かないようです。

 

緊急事態宣言の発令と前後して始まった在宅勤務も1か月半以上続き、会社は宣言解除後も当面の間は在宅勤務を認めるとしていますが、建て付けはあくまで感染症予防対策であり、業務の効率化もしくは自由な働き方の推進といったポジティブな方面にシフトしたとは言えない状況です。新型コロナウィルスの脅威が去れば日常の通勤に戻ることが予想されます。同じことをいったい何日かけて何回思ってるんだと自分でも思いますが、人生で二度とない体験かもしれませんのでちゃんと書いておこうと思います。

 

というわけで今回もカードゲームの話はなしだ。

 

在宅勤務が始まった当初、雑談のない環境で黙々と仕事をするのは性に合わないと思って、南森町の友人宅で初日を迎えました。監視、というほどではなくてもそこに友人がいて仕事の合間に会話したりすることで、なんとか集中力と作業効率を落とさずに仕事を続けることができましたが、一応彼の私宅なので毎日使わせてもらうのも申し訳なく、翌日から自宅で勤務開始。

 

前記事で書いたとおり、在宅勤務で出来ることは案件整理を目的とする資料作成、メール等での共有、予定調整や確認、それくらいです。逆に言うと、それだけで仕事の大半が回るのです。

 

不正アクセスが話題になっているzoom、国際会議などで標準的に使われているSkypeなどで一躍脚光を浴びているWEB会議も完全ではなく、資料を参照しながらの意見交換やオンライン飲み会はともかく、企業の最高意思決定やタフな交渉が必要な商談など、音声の聞き逃しや聞き間違いが許されない厳密なやり取りが求められる場での実用化にはまだ不安がありますが、部内の打ち合わせなど簡単な意見交換や意識合わせの場にはほとんど問題なく使えます。誰とは言わんけどそれ以前にやらんでもええ会議どんだけやってきたんかはよ気づけ。

 

会社から与えられているツールはインターネット経由で仮想デスクトップ環境への接続が可能なモバイルPCと、内線着信も拾う容量5GBのスマホ。これだけで仕事できます。毎日通勤する必要ないやん。

 

さて私の在宅勤務2日目。仕事に集中する前後に「抜き」が必要なので、タバコを吸ったりコーヒー飲んだりして気持ちを整理して始めようとキッチンカウンター急造デスクに腰かけて見回したら、当たり前ですけど自宅なんですよ。自宅とは職場の対義語です。徹底的に仕事と関係のない環境を心がけていた場所が急に職場化するわけもなく、雑念を振り払うためネスプレッソを作業のようにガンガン飲んでたら、腸に穴でも開いたのかウンコの色が赤黒くなりました。死ぬかもしれないと思ったので、以降はサントリー烏龍茶2Lペットを10ケース単位で買い込み(カクヤスの兄ちゃんに運ばせました)、1日1Lペースで飲んでます。トイレが近い近い。

 

以降の在宅勤務状況について特に記すべきことはありません。淡々と仕事し、淡々と定時に終業の繰り返しでした。嘘ではありません。この間に学んだことは、気張りすぎると長続きしないこと、デュアルディスプレイが必要なこと、テレビは消しておくべきこと、来客などもってのほかなことぐらいです。NHKをつけっぱなしにしてついつい13時すぎから美保純さんの肩とか胸元見てしまうんですとか書けるわけがない。

 

在宅勤務と並行して、ハンコ出社という言葉も話題になりました。

 

ハンコは時代遅れであり、業務効率化の最大の妨げと言われて久しい昨今、わが国のIT担当大臣・竹本直一さんはコロナウィルスが跳梁跋扈する世界で職場のデジタル化需要が急速に膨らんでいるというのに、今国会に関する報道でまったく話題に出てこないばかりか(首相と官房長官以外で露出の多い閣僚は西村経産相と加藤厚労相で、特に西村経産相は首相以上に出づっぱりのように見えます)、印章制度を「文化」と称して擁護する議員連盟の会長を勤めておられる方です。そんな方に完全性・可用性・機密性から始まるIT基礎知識を叩き込んだり、色々要求したりするほうがご無体というものでしょう。委員会室の机上に積まれた紙資料の山にはガッカリ感しかありませんし、それ以前に与野党ともに行政の効率化を真剣に考えて質問答弁してる様子がない(※)のは極めて遺憾です。

 

※この点は私の認識に若干の誤りがあり、2019年10月に立憲民主党の中谷一馬さんが竹本大臣に質問を提出しています。国会では質問者が事前に内容を提出して、その回答を主に官僚が作成し、大臣が委員会で答弁します。

(質問)

www.shugiin.go.jp


(答弁)

www.shugiin.go.jp

 

デジタル化とハンコは両立するという趣旨の大臣発言に対するもので、野党がネット世論に乗っかっただけの質問にも見えます。竹本大臣がどこまで理解して答弁したのかはともかく、一読したところ法の理念はあるけど具体策はない状態のようです。これで中谷さんが納得してるとしたらとんだお笑い種ですが、行政の効率化は致命的に遅れているので、民間にテレワークが浸透しつつある今こそ盛んに議論を興していただきたいですね。それにしても官僚の言葉づかいはすごいです。何ら具体性が伴わないのにやってる感だけはあります。ところで国権の最高機関を構成する衆議院のWEBサイトが未だにSSL化されてません。大丈夫なんか。

 

IT担当大臣の職責が行政事務の効率化に資するITの活用拡大推進であることを承知の上で申し上げたいのは、とうとう遺書まで見つかってしまったくだんの女子プロレスラーの死因に、民間のITサービスが望まぬ形で関わっているのであろうことについて何らかの見識をお持ちではないのかということです。きょうのニュースでこの件に言及したのは(所管を考えれば当然の事ですが)高市総務相でした。今は内閣支持率が危機的な水準に落ち込んでいるので、答弁が心許ない閣僚には徹底した箝口令が敷かれているのでしょうけど、給付金や支援金のオンライン申請に関してはそれぞれ所管の大臣が対応し(ほとんど西村経産相ですけど)、この非常時に竹本大臣はいったい何をしているのでしょうか。その名にITを冠しながら、ITがこれだけ世間の話題に上がっているのに全く存在感がありません。あまりに気になったので公式ブログとtwitterを確認してみました。

 

……公式ブログは今年2月20日の記事、twitterは3月26日の農林水産省リツイート(本人投稿は2月20日のブログ更新通知)を最後に更新が止まってます。直近のブログ記事を拝読しましたが、うーん、まぁ、いいや。いろいろお忙しいのでしょう。

 

わが社でスタンプラリーの権化だった稟議書は数年前にデジタル化されたものの、それでも上司の立場でハンコを押さねばならない書類はたくさんあります。私はハンコの書体や材質、押印の所作や印面に美を感じるほど雅な人間ではありません。そして「文化」という表現が何を言わんとしているのか直感的に理解できます。営業努力と矜持を放棄してクラウドファンディングに奔った映画業界の一部が口をそろえて言う「文化」と同じ、印章業界存続への危機感が誤った方向に振れた結果として「文化」の威光を借りているだけです。業界の総意として生き残ろうとする努力が全く感じられない。国家補償を要求するあきれた精神の図太さがあるのなら、図太く儲けるアイデアの一つでも考えたらいいのに。議員連盟の皆様には文化の語義を再考いただき、時代の要請に合わないものを実務の世界で延々と使い続けるための方便にしていただきたくないものです。本物の文化に失礼です。

 

案の定まとまりきらない話になりました。読んでいただいた方には心から感謝します。とにかく時間をかけずに書いてみようと思ったので構成もへったくれもありません。自慢できるのは誤字がないことぐらい。あったらごめん。