working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

心を治すのは難しいという話

皆様こんにちは。YAHOO!のオンデマンド広告に出てくるオーネットのアニメ風の女の子が可愛くて性格もよさそうなので、この子となら結婚したいと思うgentlyです。

 

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その後見つけたので貼っときます

それにしても結婚相談業というのは世界中の非モテ要素を集めて煮詰めて団子にしたような男性たちに現実の厳しさを叩き込むうえに、涙を呑んで人格矯正を受け入れた末に女性を紹介されても、その成否がどうあれ紹介料だけはがっつりぶん捕っていく残忍なビジネスです。小谷野敦さんがちくま新書の「もてない男」のあとがきに、サンマリエのカウンセラーから人格否定に始まり、人間改造を強要され、それが出来ないなら結婚など無理だ的なことを言われひどく傷ついた経験談を赤裸々に書いてました。こんな苦しみを乗り越えてまで生涯我々を苛み続ける異性と同居するなんて考えないほうが身のためだなとその時は思いましたが、以降も懲りずに堅気もそうでないのも含めて何人かの女性と交際し、全員1年もたずに別れました。

 

その現状最後尾の話は再三してきた通りですが、今回は自己弁護に偏ることなく別のエピソードをお話しします。こうやって他人との過去話を切り売りするような奴は絶対信用しちゃいけないよ。

 

ちょうど去年の今ごろ。そこそこ人気の中華料理店で上海蟹を食べようと彼女が提案、予約までしてくれて後は行くだけだったのですが、私の体調がすぐれず当日になってキャンセルをお願いしました。予約だけでも一苦労だったろうに申し訳ないことをしたなと思いながら綻びはここから始まって、私はその日会社を早退して寝込んでいたのに、夜になると急に元気が出てきて、彼女を誘うことなく近所のバーにふらふら出かけました。

 

「あれ?きょうはご飯じゃなかったっけ?」
「うーん、体調悪くてキャンセルしたんですよ」
「元気ですやんなにしてますのん」

 

20年前の私なら無理(ちょっと寝たら回復する程度のしんどさを「無理」と表現する時点で何か終わってる気もします)を押して彼女との約束を守ろうとしたでしょうけど、相手の気持ちに応えようみたいな頑張りのスイッチがぶっ壊れてしまって、それは頑張った結果ことごとく無と灰に帰した過去の累積がそうさせたのかも知れなくて、罪悪感が極限まで薄れていました。キャンセルを言い出したときは確かに体調が悪かったんだから嘘はついてない、みたいな。

 

それを知ってか知らずかその日のキャンセルは通り(無償で行けたのかどうか確認してません)後日彼女は再予約してくれて上海蟹を食べに行くことになり、着席の第一声が

 

「gentlyさん、私のこと好きじゃないでしょ」
「うーん、そうかもしれない」

 

女性ってこういうとき本当に鋭いですね。黙ってバー行ったのバレたかな。嘘をついてはいけないと思いながらも本音かどうかしっかり吟味しないままの言葉がそのまま出てきたせいで、カニを食べる間は基本無言とはいえ、それ以上に重苦しい空気に包まれながら作業のようにもそもそやって、ビールと紹興酒の味もよく分からなくて、何の話をしたのだったかすら記憶になくて、90分後にお会計。陽気な中国人オーナーが

 

上海蟹食べてふたりハッピーハッピーね!」

 

これ以上なく不釣り合いな祝辞に不細工な苦笑いで応えつつ店を出て、LINEを数回やり取りした後ぷっつり途絶えました。

 

今年3月の最後のやりとりは

 

「今月末に引越しすることになりました お伝えすることもないかなぁと思ったのですが…gentlyさんはこの街で一番お世話になった人なので 体調十分に気をつけてくださいね」

「あらそうなんですねー お世話なんてしてませんよお気になさらず」

 

医療関係者らしい締めくくり、もしくは二人の関係性を決定づけたドタキャンへの呪いがこもっているのかもしれない挨拶と、やせ我慢もしくは虚勢を張っているようにしか見えない返事と、私の思いはどこにあったのだろう、私はいったい彼女の何を好きになって、逆に彼女は私の何を好きになってくれたのだろうと、ちょっと考えるふりをしました。

 

まぁ、ひどい話です。人を好きになる熱意も資格もなくなったなと思います。この人はアニメで感情が動くのに、私にはこれっぽっちも関心がない。もし彼女がそう考えたのだとすると、うちに5,000円相当のワインを置き去りにするくらい、街ですれ違う程度ですら私の顔を見たくなくなったんだろうと想像できます。そしてそのワイン、野郎どもが集まるどうでもええ会合で飲み干しました。つくづく最低ですな!

 

その最低を分かっていても、自分の行動を改めようとか反省しようとかいう気持ちが全く起きないのです。これを過去のせいにすることは簡単ですが、過去とは他者そのものではなく、他者との交渉を通じて自分の心と体に刻んできた印なのですから、イヌが川面に映った自分を威嚇して肉を落っことすように、姿見に映った自分を批判して余計な印を刻みつつ、刻んだ質量以上のよき隣人としてあるべき良心のかけらを失っているに過ぎないのです。どうしたって今の自分のありようは、他者のせいにすることはできないのです。

 

「傷ついた分だけ優しくなれる」という、J-POP全盛の時代に誰も彼も歌い耳にしたかのようなフレーズがありますが、物には限度ってものがありましてね。一定水準を超えたら自分も誰かを傷つける側に回るのです。そうしたくなくても、そうなるのです。そして私は彼女をそれなりに傷つけて平気でいるのです。リアルな人のリアルな気持ちが分からなくなるのです。アニメの子たちに過度な感情移入をし過ぎた影響かもしれません。

 

こんな私が結婚相談所に行ったら、たぶん自殺するでしょう。閲覧履歴がついたせいでアドウェア並みにオーネットの広告がボコボコ出てくるよ。あれからアニメ風の彼女に会えないな。白セーターの笑顔が素敵なリアル女子ばっかりだ。どうしよう、割り切りって言葉しか出てこないや。

 

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今夜はこれ聴いて寝よう。