working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

1→2→ω→5

イスラム武装勢力タリバンアフガニスタンを再び実効支配し、アメリカ主導の民主派政権を国外へ追放したニュースが世間を騒がせています。ちょうど20年くらい前、アメリカではイスラム過激派のテロ組織アルカイダによる同時多発テロ事件が発生しました。

 

2001年9月11日の私は何をしていたか。先生を含むゼミ御一行様と、函館から北檜山、室蘭を経由して札幌に向かう高速バスで約8時間揺られながら、小泉純一郎首相(当時)の所信表明演説の一節「米百俵の精神」で一躍有名になった映画「米百俵」を見ていました。戊辰戦争終結後、敗軍となった長岡藩(幕末の河合継之助も有名ですね)は財政が破綻し、日々食べるものにも困る有様で、支藩から米百俵が見舞品として届けられました。しかし藩首脳はこれを食用とせず、なんと学校の設立資金に充て、後世の人材輩出のために使ったという、一見美談のようで、日本の精神至上主義と忍耐の限界が相克し、人間の最も美しい部分と最も醜い部分を容赦なく描いた一作です。映画を見た後も結局、あの演説で小泉さんは何を言いたかったのかよく分かりませんでしたが。

普通、函館から札幌への移動には鉄道を使います。なぜそうしなかったか。鉄道が止まっていたからです。強い勢力を保ったまま北上した台風は南北海道を暴風圏に取り込み、午前中に見学した五稜郭は5メートル先も見通せないほどの土砂降りで、函館駅に着いた頃には雨は上がっていたものの、鉄道は完全運休。

旅程管理を一手に引き受けていた私は、駅周辺を徘徊しながら札幌までの移動手段はないものかと探しまくったところ、臨時バスを発見しましてね。チケットをゼミ人数分購入、移動手段を確保したことを旅行会社に知らせて運賃分の返金がどうとか保険がどうとか打ち合わせして、これで大丈夫と一安心している間に

 

「gentlyさん、ポンちゃんのいびきがすげぇんで部屋どうにかなんないすか」
「それはわしらの部屋で引き受けろってことを意味するの分かってるんか?」
「あ、スンマセン、なんでもないっす」

 

人が自由時間を削って諸々手配してる時にどうでもいい相談をよりによって今持ちかけてくるアホな後輩とのぎすぎすしたやり取りと米百俵を経て、車中のテレビに映し出されたニューヨークの中継画面は最初、何が映ってるのかよく見えませんでした。車載テレビなので電波の受信状況もよくなかったのかもしれませんが、ぼんやりとビルから煙が出ているのを認識してもせいぜい何かの爆発事故だろう程度に思っていて、札幌のホテルに着いてニュースを確認したら、大型旅客機が世界貿易センタービルに突っ込んで爆発したり、高層階から飛び降りる人がいたり、果ては何がどう作用したのか、辛うじて立っていたビルが上階から溶け落ちるように崩落する衝撃的な映像を何度も見る羽目になりました。我々はその映像を見ながらUNOとO'NO99をやって強炭酸飲料を一気飲みさせる罰ゲームに興じていましたが。

 

……事件後、アメリカのブッシュ政権イスラム原理主義を謳う過激派組織の壊滅を報復的使命に掲げ、それ以前から介入していたアフガニスタンで大規模な軍事作戦に乗り出し、また「悪の枢軸」「テロ支援国家」と名指しで批判していたイラクフセイン大統領(当時)を拘束・殺害し、タリバン勢力が弱体化した後のアフガニスタンには民主派のカルザイ大統領が就任し、中東情勢は安定するかに思われました。しかし結果は今日の通り。世界の警察を自称していたアメリカは軍の撤退を決断。中国とロシアはタリバン政府を容認。日本は対応先送り。この動きに呼応してシリアでくすぶっているIS、パレスチナでくすぶっているハマスがどういう動きを見せるのか。gentlyは気になって気になって、

 

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ビッグ・ボスとソリッド・スネークは瓜二つ

メタルギアソリッド(以降MGSと表記)5を始めました。サブタイトルはPHANTOM PAIN。なんだろう、幻肢痛のことかな。

 

MGSの歴史をたどるとMSXまでさかのぼりますが、そんな昔のことは何かの記事で読んだ程度しか知りません。私の記憶はプレイステーションとともに人生を歩み始めた1998年、実況パワフルプロ野球に同梱された体験版から始まります。何の偶然か、あの話もウイルス研究所に偽装したメタルギア開発基地で、ナオミ・ハンターさんがスネークに「ナノマシン」と称してアブないモノを仕込んでたのはいったん措いといて、あの体験版の何に感動したかって、フルボイスです。大塚明夫さんと青野武さんが中年を過ぎた男の渋み全開で潜入任務の話をしている。最初の水路から地下施設を抜けて、雪が降りしきる中、双眼鏡を構えて本棟の進入路を探すスネークさんがため息交じりに「ここからでは見えないな……」この言葉の重み。スネークはこれから本当に難しいことをやろうとしてるんだろうなぁ。この先が気になって仕方がない。仕方がなくてゲームを発売日と同時に買ったのはこれが最初です。

 

FOX HOUNDの恐ろしくも愉快な仲間たちとの戦い。特にサイコ・マンティス(曽我部和恭さん)はプレイ履歴を探って性格診断までしてくれる、とてもいい奴でした。酷寒のアラスカで胸元を過度に露出した国なき民・クルドの美しき狙撃手、スナイパー・ウルフ(中村尚子さん)はスネークの連れの女メリルさん(寺瀬今日子さん)の脚を撃って人質に取り、手当もまともにしてくれないろくでなしでしたが、美人なので許す。オタコン(田中秀幸さん)もそう言うと思う。出会って数秒で死んでしまったDARPA局長、ドナルド・アンダーソン(佐藤正治さん)に偽装していたデコイ・オクトパスは結局どんな奴だったのか全く分からずじまい。本物は数日前に血抜かれて干上がってたというひどい話だった。ひどいのはニオイか。

戦車で人を撃ったり、機銃を背負って冷凍庫にこもっていた、変態的でありながら散り際に名言を残したバルカン・レイヴン(堀之紀さん)。ハインドDで対人戦を仕掛けてきたり、マスター・ミラーに変装して最後はメタルギアREXに乗っかって生身のスネークを殺そうとする絶対的ジャイアンリキッド・スネーク銀河万丈さん)。ハンドガンの名手ながら跳弾を計算してこちらを的確に疲弊させ、右腕を切り落とされてどうしようもなくなったかと思いきや拷問コーナーで再登場、楽しそうに電気ショックを与えてくるリボルバー・オセロット戸谷公次さん)。そんなオセロットの腕を切り落とし、その後の様子から殴られたり踏まれたりすることが大好きなのだろう全身機械化忍者、グレイ・フォックス塩沢兼人さん)。セーブ後に必ずことわざコーナーを持ってくる140.96メガヘルツのメイ・リンちゃん(桑島法子さん)は心の癒しでした。みんなみんな、とてもいい演技でした。死にかけながらFOXDIEのヒントをくれたベイカー社長(藤本譲さん)も忘れてないぜ!本当に、洋画の名声優揃いでした。

 

……このように、最初のMGSがあんまり楽しくて、MGS2買うのなんて既定路線でしたからね。懐かしいメンバーたちの眩しすぎる共演。オセロットさん腕どうしたの戻ってるじゃん。いい演説だった。奪う?返してもらうのだよ。らりるれろだと!セルゲイ、年を取ったな。オルガ……アメリカ人は女も殺すのか?仕込みナイフ!貴様、スペツナズ出身か!やばい、みんなかっこいい、かっこよすぎるよ特に戸谷さん。下がれリキッド…!もっとあの時間が長くても良かった。オタコンのことわざものまねコーナーは楽しかったよ。傷んだステルススーツで輸送船の甲板に着地したスネークは、まるでターミネーターのようだった。

主人公が代わるんだと知っていたら私はどうしていたでしょうね。雷電堀内賢雄さん)はカッコよかった。ヴァンプ(置鮎龍太郎さん)のからみつく悪人声と、エマちゃん(山本麻里安さん)みたいな可愛いオタクを躊躇なく殺すのは最高に痺れた。フォーチュン(冬馬由美さん)の不幸を呪いながら自己陶酔してる感じとガタイの良さから溢れ出る存在感は思わずひれ伏したくなる神々しさがあった。「私を殺して」があんなにエッチに聞こえたのも初めてだった。デブのくせにローラースケートがうまいファットマン(塩屋浩三さん)には苦労した。あとあいつ、足が不自由なふりしてたおじさん。「歩くどころか、走ることさえできるのだ」のくだりで笑ってしまった。最後は爆弾解体に失敗して死んじゃったけど、「爆弾解体は己との勝負だ。恐怖に飲まれるな」の名言は忘れない。最終盤の大佐(青野武さん)が能勢電の駅名読み上げマシンになったところも最高だった。でも、主人公はソリッド・スネークでいてほしかったんだよ……終盤のY2Kに絡めたストーリー展開も良かったんだけど、肝心のラストを覚えてないんだな。なんか、複数のちっちゃいメタルギアがいた気がするんだけど。雷電さ、あいつ、結局日常に帰ったじゃん。そのことと、たぶん、2002年に社会人になったことがその後のプレイの少なさに影響していることは間違いない。なので声優さんの記憶以外あやふや。

 

そして、MGS3。2と3の間には決定的な違いがあります。そうですね、ソリトンレーダーがないことです。あれがなくなってからゲームレベルが一気にハードになったと私は思います。代わりに持たされたのは、生物が近づくとぶつぶつ震えて教えてくれるバイブレータでした。いやらしい気持ちになってしまうではないか。

操作することも増えました。外国、特に北米市場の人気に火がついたこともあって、操作コマンドをより多くしようと考えたんでしょう。洋ゲー化が進むと島国育ちの日本のファンは縁遠く感じます。面白そうになったと思ったのに、今まで通りの操作感覚では太刀打ちできなくなりました。やまねこ団だかなんだか、赤いベレー帽集団の襲撃に耐えきれなくて毎回犬死です。MGS3の発売は2004年の秋頃でしたから、入社前後から体重が15キロくらい落ちたころ、一番社会人として疲弊していたころでした。新たな操作を習熟するほどの心の余裕もなければ、ゲームに対する関心も大きく薄れたころで、結局ベトナムの荒野を制覇することも出来ずに3を手放し、このあたりを境にもう一度ゲーム機のない暮らしに回帰するのですがそれはまた別のお話。あのときPS2を誰にあげたんだったかな。串カツ屋の店長だった。このご時世に元気してるかな。

 

あの別れから15年くらい。ええ、MGS4ですか。当然やってません。だって販売コンテンツが見当たらないから。3だって、やったうちに入るかどうか。PS3でやったゲームですか。そうですね。アイマスワンフォーオールとみんGOL6以外思い出せないですね。てかほとんどアイマスですね。

そんなんでMGS5に太刀打ちできるわけあるかよと思うでしょう?私もそう思ってました。ええ、その通り太刀打ちできませんでした。なぜ買った。それは先に申しあげたとおり、中東情勢があんなことになって、だいたいあの辺で戦闘行為に加担し、史実とちょっぴりリンクしている彼らのその後がとても気になったからです。

 

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武器がいっぱい持てること以外何もわからない

この操作コマンドの多さはいったいどうしたものか。脳が拒絶している。覚えきれん。そして序章。ほとんどオープニングみたいなもんですけど、ええ、5回死にました。でも何とか乗り切ったよ!キプロスの病院脱出できればあとはどうにでもなるね。1984年だから、MGS1の16~7年前?ガスマスクのふわふわ浮いてる子供はサイコ・マンティスかな。燃える男はただただ恐ろしい。何しても死なん。ソ連兵が病院突っ込んできて患者さん撃ち殺しまくるんですけど、その死体の目がこっち見てたり、血がドビューって出たり、これでZ指定しないとか頭おかしすぎるだろ北米……

 

しかし。私の心は折れなかった。なぜか。

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これはネットから拾ってきた

かっこいいオセロットさんと再会できたことと、1984年にしてはオーバーテクノロジー感のある双眼鏡のおかげで敵の位置がだいぶ把握しやすくなったことです。病院を脱出したと思ったらいきなりオセロットさんに言われるがまま装備させられて、アフガニスタンまで船で運ばれて、こちらが一言も発しないうちにああだこうだと説明してくれました。よくしゃべる奴め。

 

双眼鏡なんて過去のシリーズでまともに使ったことないですよ。かろうじて、PSG-1でビッグシェルの連絡通路の上にいる奴を撃ち殺す時ぐらいかな。序盤から無線機を通じてオセロットさんが丁寧に教えてくれるのですが、敵本拠に接近する前に望遠鏡をフル活用して偵察することがこれまで以上に重要になり、道具としてのプレゼンスが圧倒的に向上しました。バイブしかなかった時代と比べて本当に良くなった。ソリトンレーダーより良くなった。かな。発見した敵しか認識しないのはとてもいいですね。理にかなっています。それだけに物陰から突然敵兵が現れると腰を抜かすほど驚きます。あと大声も出ます。近所迷惑のタネが増えていく。

 

あと、操作が必要な都度TIPSが表示されて、ひとつずつ無理なく覚えられるよう、初期脱落しない配慮と工夫が施されています。これは40過ぎのオッサンには大変ありがたい。操作後10分もしたら忘れるけど。たまに壁からチラッと覗くのに失敗して敵の前に出ちゃうとかね。あれで名声が下がるとか、そもそも名声ってオンライン以外でなんの意味があるのかよくわかりませんけど、まぁ序盤は失敗大会みたいなもんだと思って地道に操作を身につけ、だいぶ小慣れてきましたよ、ええ。

 

それでも、カブール最初の要塞、カズヒラ・ミラ―を助け出せません!遮蔽物に隠れてもソ連兵は見逃してくれません!すぐ追っかけてきますし簡単に見つかります!とにかく見つかったら全力離脱の大脱走しかない現在。見つからずに接近するって大変ですね!でも面白い!ソ連兵はいずれ皆殺しにしてやる!