working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

再びの、声優とインボイス制度

皆様こんにちは。9月の管理畑サラリーマンはとても忙しかったりします。月初めのルーティン月次決算、融資関係の契約更新準備と金融機関との交渉、取締役会の準備、そして今年特有の業務、インボイス対応準備です。

ちなみにこの1週間、何も書かなかったのは忙しかったからではなくサボってただけです。制度開始まで1か月を切ったインボイスについて、これまで何度か書いてきました。

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そのほとんどが免税事業者で、低収入の声優さんには単なる減収と事務負担の増加でしかないので反対!というのはわかるのですが、先の記事にも書いた通り、もともと役者稼業なんて専門学校行こうが特別なレッスン受けようが、みんながみんな食っていける職業ではないという基本的認識が欠如した人が少しでも減るのはいいことじゃないですか。

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3割廃業と言いますけど、その中に収入がしっかり確保できている売れっ子声優さんはいないでしょう?金持ち喧嘩せずですよ。インボイス制度導入で業界の才能が失われるとか、若い子の裾野が狭まるとか、ちょっと問題の捉え方がおかしいと思います。

 

取引の力関係上、声優さんと、その演技を採用する人たちとの間で報酬の増額交渉なんて出来っこありません。価格決定権を持つのは採用する側と、ごく一部の有名声優さんだけです。

構造的低収入の改善なんて、出来るものならとっくにやってるでしょう。何が言いたいかわかりますか。

声優さんの報酬単価を切り上げて、業界が得をしますか。しませんよね。ましてや出演希望者がすすんで毎回オーディションにたくさんやってくるんですから、それを支払う側から言い出すこともなければ、そもそも交渉に応じるわけがありません。万が一そんな申し出があれば別の声優さんに切り替えるだけです。

 

徴税とその事務負担が個人事業主として受け入れがたいということは、もはや職業として成り立たないということです。そういう方々にはできる限り若いうちに別の業界を志してもらう方が、ご本人のためにもなるでしょう。

これによって業界の衰退を招くとしたら、いつのことなんでしょうね。甲斐田裕子さんをはじめとする一線級の声優さん、この方々もいつまでそのお仕事が続けられるか分からない不安定な立場にいますし、免税事業者のままで取引継続できるほどの力関係を有しておられるのかどうかは分かりませんが、若手を含む声優さんを守れ!と主張しているかに見えてその実態は、芸能界の末端で、金と若さとやりがいを搾取される三重苦のスケープゴートを生み出しているだけなのではないでしょうか。

いつまでも独立して食えないまま、業界で囲い続けて飼い殺しにする方が、よほど残酷だとは思いませんか。

 

インボイス制度の有無に関わらず、役者の世界とは誰もが凄まじい貧乏をしながら、いつか売れる日を夢見てバイトに精を出し、その辛さに耐えきれずに脱落していく。それでも生き残る人のうち、さらに一握りの人にしかチャンスはやってこない。それくらいの狭き門です。

だから親御さんは普通の勤め人にさせたがるんです。子供の才能を信じないからではなく、安定した暮らしのために身につけるべきことが他にあるからです。

事実、今や声優さんは、特に若手でこれから売り出すという段階において、お金持ちの子女でもない限り続けられない職種になりつつあります。逆の言い方をすると、バイトにも税務作業にも追われることなく、演技の練習時間が十分に確保できて、レッスンに相応のお金をかけられれば、役者としてはある程度育つでしょう。それが人の心を掴む演技であるか、真に役者の適性があるかはともかく。

 

それなのに、才能を伸ばしてあげたいとか、夢を応援してあげたいとかの理由で、すでに業界が新人受け入れをほぼ停止しているほどの飽和状態なのに、高い授業料を取って、社会でなんの役にも立たない演技のスキルしか持たない若い才能の卵、孵化するかどうか限りなく怪しい卵を量産し続ける声優育成に特化した専門学校は即刻潰れるべきだと思ってます。あんなの搾取だよ搾取。

 

みんながみんな、トランクひとつに夢いっぱいって訳にはいかないんだよ。学校出たってキラキラな仕事にありつける訳じゃないんだよ。いい加減目を覚ましなさいよ。柿原徹也こっち向いて喋れよ。

 

以前引用した記事の中で、音響監督の長崎行男さんは、現場はコロナ禍を経て若手を多く必要としていない、自分から考えて行動できる人間以外に未来はない、受け身で演技を学ぼうとする人間は声優に向いていない、そもそも演技は学んで身につくものではない、専門学校や養成所で学ぶことが役立つとすれば社会復帰のコミュニケーション訓練程度だと断言しています。

専門学校を出て、下積みから始めて、いずれは売れていく、仕事が向こうからやってくるというような、丁寧なキャリアアップの階段は用意されていないのです。柿原徹也はドイツからの帰国子女ですよ?住んでる世界が違うって、直感的に分かりませんか。この映像を見て彼と同じように夢を追い続けることは素晴らしい!なんて本気で思ってるとしたら、とんだお花畑ですわ。

夢を追うのもほどほどに。一定の年齢を過ぎて、なんのスキルも持たずに企業勤めしようなんて、無理ですから。

 

……そして私の業務であるインボイス対応とはなんのことかと言いますと、経理システムの免税事業者フラグ有無の確認だったり、仕入税額控除緩和措置のシステム対応確認だったり、そもそも取引先に免税事業者がいるのかどうかの確認だったり、現状で適格請求書の要件を満たしていない業者への対応確認だったり、まぁ確認だらけですわ。でも声優さんよりは収入もありますし楽だと思います。

 

しょせん、私は勤め人なので、自分の給与や報酬を決定できる立場になく、数多くの税務作業からも免除されているので、インボイス制度が導入されることへの個人事業主の心の機微など理解しえないのかもしれません。