working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

バンバンパクパク金食い虫

皆様こんにちは。2025年に開催予定の日本万国博覧会(大阪・関西万博)まであと500日くらいになりました。ただ、会社の人たち、周辺の飲み仲間、そして言わずもがなのインターネット含めて、いまいち万博気分が盛り上がらないどころか、さっさと中止しろという意見が目立っています。

news.yahoo.co.jp

ネットニュースで見る数字は各社の思惑次第でどのようにも変化するので参考程度に見ていただければと思いますが、反対、中止を唱える人たちに共通する見解は開催費用の馬鹿げた高さです。

 

当初1,250憶円と言われていたのに、物価高やら資材・職人不足やらでみるみる膨らんで現在は最大2,350億円といわれてます。さらに日本国のパビリオン建設費用はこの中に含まれてないだかなんだかで800億円余りがポンと上乗せされました。倍どころの話ではありません。

家を建てるのに2,000万円と言われてたのが「すんまへん4,000万円なりましてん」て施工業者に言われて「ほいでっか、ほなたのんまっさ~」とは、普通、ならんでしょう。マイホームと万博では物差しが違うことは重々承知してますし、一応国際博覧会なので、開催費用が高いからやめますとは言い出しにくいことも理解したうえで書いてるんですよ?

それでも、当事者が誰も「当初の見積からしてちょっとおかしんちゃいまっか」と言わないばかりか、国までもが「やむを得ない」なんて言ってるもんですから、国家予算やら税金やらを他人の財布のカネ程度にしか思ってないんじゃないかと言われて当然ですわね。実際そうなんでしょうけど。

 

反対を押し切って開催するにしても、万博に伴う「経済効果」という言葉にもトリックを感じてしまいます。前大阪市長は6兆円とぶち上げ、最近は2兆円くらいが主流のようですが、そもそも経済効果とは何のことかというと、その地域がなんらかの事象、イベントによって得られる利益の推計のことです。

めぐりめぐって会社の業績が向上すれば私たちの給与、手取りにも何らかの好影響を与えそうに聞こえますが、経済効果がいくらであっても会社の給与体系が変わらない限り私たちの懐に収まる金額は変わりません。要するに、経済効果とは事業者の利益であって、必ずしも働く人間の利益になるとは限らないのです。

 

……とはいえ私は万博の成否にちょっぴり、ある程度、多少、いやかなり関与している会社員の立場上、この万博に今更中止はあり得ないことを言わねばなりません。

国の威信とか国際的な信用とか漠然としたナショナルプライドのためではなく、「日本を元気に!」とか頭の悪そうなスローガンのためでもなく、わが社の利益とかチンケすぎるはした金のためでもなく、すでに万博開催に向けて大部分のモノカネヒトが動いており、会場となる夢洲の土壌改良工事もほぼ完了し、パビリオンだったり、万博あんぽんたん大臣が「日よけ」と呼んだ会場外周を囲む木造建築物だったり、大阪メトロ北港テクノポート線ニュートラム)延伸により建設される夢洲駅だったり、複数の建屋工事が仕掛中だからです。

今から中止を実現するには一切の工事を止め、建設業者、国際博覧会協会にそれぞれ違約金を納付しなければならず、しかも開催によって見込まれた収入は一切入ってこないため、丸損になります。そして長年「負の遺産」と言われ続けた夢洲は貨物専用の港湾機能にとどまり、建設途中のあれこれがまるで廃墟のように放置され、今後の利活用の道は閉ざされ、2030年度に計画されているIR(統合リゾート施設、世間一般にカジノと理解されているアレ)も白紙撤回を余儀なくされるでしょう。

 

中止を唱えるにはあまりにも遅すぎたのです。

 

ネット上では国際博覧会協会に支払う違約金は350憶円と言われていますが、仕掛工事の中止と調達資材、労働人員に対する補償として建設業者に支払わねばならない違約金は想像もできません。

当事者が一方的に工事の中止を通告もしくは契約解除を申し出た場合、完成部分と建設予定部分に関して要した費用を合計した金額を支払うのが一般的ですので、今からだと開催費用とほぼ同額程度になるんじゃないでしょうか。そんなのはだいたい企業側の言い値になっちゃいますから、正確な検証はほぼ不可能です。

開催にかかる無駄より、中止による無駄のほうが目を覆いたくなる惨状になるのです。要約すると「やめるより、やったほうがまし」。

賢明な皆様ならお気づきですね。東京五輪もそうでしたが、当初の開催費用は過小に見せかけて、誘致活動と称して湯水の如く資金を注入し、開催が決まれば「経済効果」を盾に追加支出をいとも簡単に容認する。

その結果、主に受注価格と請負事業の調整を意図した談合と、自社が有利になるよう仕向ける贈収賄の温床が生まれ、利権構造が自然組成される。この万博が終わる頃には何人かの逮捕者と自殺者が出るでしょう。

これが国際大型イベントの正体であり、日本が数十年前から進めてきたやり方なのです。公共事業とは大体そういうものなのです。嫌になりますよね。でも、ここまで来てしまったら、誰にも止めることはできません。

 

……そんな次第で、万博の機運醸成に邁進しなければならない立場の私に、業界団体とお役所から同時多発的に協力依頼がありましてね。

はけない

チケット販売開始を告げるQRコード入りステッカーを50枚ほど渡されました。会社以外のどこかで啓発用に配って歩けとのこと。おととい受け取って、どこに貼ったらいいのか2日ほど仕事ほっぽり出して考えた結果、

・自宅の洋式トイレのフタの裏
 開けないと使えないので必ず目に入ります。私の。

・玄関ドアの外側
 管理会社に怒られます。

・窓ガラスの内側
 外向きに貼るので粘着部分が使えない。よく考えたら通路に面した窓がない。

・電話ボックス
 フーゾクチラシじゃないんだから。てか今電話ボックスてどこにあんの。

・私のMacbook
 プリキュア以外貼りたくないな。

・行きつけのバー
 そんなお願い自体が申し訳ない。

 

ほとほと困って飲み仲間にも相談しました。

「電柱に貼ったら怒られますか」
「怒られますね」
「じゃあいらないですね」

ほんと嫌われてるなぁ万博。大体このステッカーさ、どこに貼ってもらいたくて作ったんだよ?飲食店だって嫌がるよ!機運醸成費とやらが無駄遣いだって言われたら「ああその通りだね!」ってデカい声で同意するよこんなの!

結局こうなりました。ミャクミャク様は青いんだから青キュアと仲良くしてね。

今はメディアが開催費用云々で民草の怒りを煽ってますけど、あくまで私の楽観的予測として、始まったらどうせ手のひら返してミーハーPRするに決まってるんですから、軽々に中止論に乗らず、様子見を決め込んでおくのが一番賢い振舞いなのかなと思ったりします。