working-report 2回戦

ゲーム脳はゲーム脳のままで熱を失うだけ

我那覇響はナディアだった話

前回の続きは時間のある時に書き進めていますが、暗黒時代を自らの手で掘り返す作業は精神的苦痛が伴います。トラウマを自分で強化しているようなものです。そのためか進捗が芳しくありません。東日本大震災を10年でひとつの節目に出来ないように、私の悪夢の半年間も10年そこいら経った程度ではキラキラした思い出になりえないのかもしれません。また、決算期直前なので遅筆が許される時間を確保できません。

だからといって何もできないほど多忙というわけではなく、優先して時間を割り当てたいことがあったので今回はその話をします。

 

・勝気な性格
・小麦色の肌
・黒紫の艶やかな髪
・マリンブルーの瞳
・人間離れした運動神経
・動物と会話できる特殊能力

 

私の愛妻である我那覇響ちゃんの特徴が誰かに似ているどころか完全に一致じゃねーかってことに気づいたのはつい最近のことです。

 

1990年(平成2)年4月の放送開始から30年以上経過したにもかかわらず、飲酒とともに萎縮する大脳の記憶の中で燦然と輝き続ける「ふしぎの海のナディア」(以下、ナディア)。

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ナディアはほんと可愛いなぁ

少し前にこんなサイトが出来たようです。どんな雰囲気のお話か全然知らないわという方にちょうどいい量の情報が載ってます。

www.nhk-character.com

情報の更新頻度を見ていると何かが動き出しそうな気配すら感じますが、エヴァウルトラマンとビッグプロジェクトを終えた庵野さんに何か期待してもいいのでしょうか。版権ややこしそう。

 

いつぞや告知したナディア展@梅田大丸に先週行ってきました。大阪会場は3月8日で終了しました。最終日は奇しくもシン・エヴァンゲリオン公開初日でした。

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こんなワクワクする展覧会は久しぶりだぜ!

図録つきの4,500円(一般入場料は当日券1,500円。3倍!)を払って入場。各コーナー、短サイクルながらナディアとジャンが展示内容について説明してくれます。新録音声のはずなのに、鷹森淑乃さんと日髙のり子さんは今もあの声が出せるという事実だけで感動します。当時の原画は敬称略で庵野秀明樋口真嗣貞本義行鶴巻和哉黄瀬和哉摩砂雪(この方の描くナディアの弾ける感じの笑顔が好き)、前田真宏など若き才能が集結したGAINAXの主要メンバーの手によるもので、その絵の上手さ、繊細さに感嘆の溜息が出ます。30年経っても古びない丁寧な仕事です。

展示会場で小一時間の短い夢を見た後に待ち構えていたグッズ販売コーナーの額面が私を現実に引き戻してくれました。タペストリー16,500円。他作品ならアニメイトでブルーレイを買えば無料特典で付いてくるタペストリーが、ナディアだと16,500円。シルクか何かで出来ているのか。Amazonでブルーレイボックス買えますよ。世代の懐具合を勘定した価格設定に半ば幻滅しながら、サンプルの前で10分考えてしまいました。買えるけど、買ったら何かに負けた気がして。かったのにまけたって、おかしいね!

東京会場の展示は3月20日から、スカイツリーのふもと、東京ソラマチで始まるそうです。ファンなら絶対行きな。図録には出演声優さんの対談も収録されてるぜ。

思い出の中の彼女は今でも扇情的なサーカス衣装を着て、あるいはノーチラス号のクルー作業着を必要以上に破いたへそ出しルックで、あるいは白いシーツを巻き付けただけの、褐色肌との絶妙なコントラストと眩しい笑顔で夢を見せてくれます。たぶん私は、小学5年生だったあの頃からずっと、彼女に恋をしているのです。だーからいつまで経ってもリアルで結婚できないんだな。いるわけないもの。

 

当時、実家のテレビは親父がチャンネル選択権を有しており、夕方6時~7時台にかけて民放とNHKのニュースをハシゴ、その後はプロ野球中継、バラエティ(オレたちひょうきん族とか)を見るという風で特別厳格というわけでもなかったのですが、アニメ番組とドリフだけは厳しく制限されていました。親父の前で北斗の拳聖闘士星矢など見ていようものなら北斗百裂拳あるいはペガサス流星拳に勝る威力の鉄拳が飛んできました。当時の折檻で眼球を損傷した話はこちら

ただひとつの例外はNHKでした。今も昔も田舎のNHKは「公共放送」という金看板のご威光もあって絶大な信頼を得ているのです。そんなNHK様が放送するアニメだけは視聴を許されており、物心ついた私がNHKアニメを見た最初の記憶は、毎週金曜19時半の30分枠「アニメ三銃士」です。ティーン目前、微粒子にも劣る存在価値だった私が理解するにはお話が難しくて記憶に定着しないうちに終わってしまったのですが、鮮烈に覚えているのがアラミスの入浴シーンです。

オッサンの濡れ場なんぞ見て何が楽しいのかと思ったあなた。制作陣のキャラ設定の手際は見事なもので、なんとアラミスは恋人を殺され、彼の身代わりとして復讐を誓った女性が男装していたのです。アラミスの美しい背中を見てしまった少年の驚きと興奮だけは私にも大変良く理解できたので、シーンが目に焼き付いて眠れない夜が続きました。こういうことに反応し始めたとき、幼児の心と体に何かが芽生えるのです。

ちなみに「アニメ三銃士」のオープニング曲「夢冒険」は「のりぴー」こと酒井法子さんが歌い、1988年の選抜高等学校野球大会の行進曲に選ばれました。まさかその後あんな形で逮捕されるとは思いもしなかった時期でした。

 

アラミスへの名残を惜しみつつその次に始まった青いブリンクもしっかり見ました。

・仔馬のブリンクが怪光線を発してカケル少年をハイにする
・ハイになったカケル少年はトミーとマツのトミーのように怪力発揮
・最終回は衝撃と気の毒さのあまり泣いた

探しに行ったお父さんがね、まさかあんなことになっていようとはね。海のトリトン以来、最終回で子供にトラウマを植え付ける手塚治虫は本作の途上で完結を見ることなくこの世を去ります。そのありようがカケルのお父さんとかぶった、手塚治虫はあの瞬間自ら物語になったと当時は思いませんでしたが今ならそう思います。

 

そして、その次に始まったのがナディアです。今までに見てきたどのアニメとも違いました。

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放送から20年経った頃にこんな本も出た

第一話の冒頭から、子供の頭をぶん殴るような情報の嵐。19世紀末、産業革命、列強の海洋進出、科学技術……10歳か11歳の頭脳で処理できない難解な何かが流れた後に、

 

雲間を高速でスライドするカメラ、

鮮烈な海の青に生える白い鴎の羽ばたき、

元アイドルとは思えない森川美穂さんの力強い歌声、

 

あ、僕、なんか今、大人になったと思ったのです。私の知らないバトルアニメを見ている猿と変わりない男子たちからケガしそうな技をかけられ続けたた少年時代が、クールな映像と音によって終わったのです。実際は猿の群れで一番弱い猿、それもメガネザルでしかなかったのですが。

あんなにお肌を露出している褐色の美少女が画面の中を跳びはねてるのに、親父とおかんは「NHKだから」という理由で何の制限も設けませんでした。あの分だと万が一放送事故でアダルトビデオが流れても「NHKなら仕方ない」と言った可能性すらあります。それくらいナディアの存在感がセンセーショナルでインパクトがあって、ともすれば有色人種への偏見を助長しかねない風潮が色濃く残っていた平成の初めに、最高に可愛いヒロイン主人公が誕生したのです。まだまだお堅いNHKでよくあんな企画が通ったな。

 

そんな衝撃の第1話以降、毎週ナディアに夢中です。湾岸戦争が始まったり、夏の特番編成で長期間放送休止されたり、秋篠宮様が川嶋紀子さんとご成婚したり、臨海学校で金曜夜にいない日に初めてVHSで予約録画したり、最終回放送当日に祖父が死んでテレビが見られなかったり、世間の色々な事象が私とナディアを引き離そうとしましたが、すべては愛の為せる業。私はナディアを諦めませんでした。

中でも思い出深いのは、ガーフィッシュ艦隊に包囲され絶体絶命のノーチラス号……という最も引っ張ってほしくないタイミングで長期休止に入り、放送が再開された直後に見たのがスーパーキャッチ光線だったり、当時の制作ルール(海外との技術交流か何か)として韓国のアニメ会社に委託せざるを得なかったために作画のクオリティが格段に下がってしまった島編・アフリカ編が延々続いたり、作中のあらゆる事象に心折られそうになりました。それでも私はナディアが好きでした。どんなに顔と動きがおかしくなっても、どんなに見るに堪えないお話であっても、それはナディアでした。どうかきちんと手直ししてあげてほしい。

 

どの話が好きですか?と問われると私は断然エレクトラの過去が詳らかになるあの話ですがそれは置いといて、潜水艦戦の緊張感が画面からあふれ出していて、もう何百回見たか忘れるほど見ている魚雷回避のシーンで「今回は当たるのではないか」という不安にいつも襲われます。凄いんです、カッコいんです、ノーチラス号。スーパーキャッチ光線回は、久しぶりに見たという喜びもあったのだろうけれど、泣いた。一連の流れにある2話は演技作画とも非常にクオリティが高く、後にも先にもあれに勝る展開はないと思ってます。

 

展覧会のあと、買って10年近く経つDVDボックスを引っ張り出して、ノーチラス対ノーチラス号を見て、どうしようもなく体がムラムラしてきて

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えぇ、ブルーレイですが、何か?

ほら、映像が奇麗になったらさ、全然違うって、言うじゃない?本当にその通りで、ブルーレイの名前通り(たぶん関係ないと思いますけど)青の発色がDVDと全然違います。アナログ放送だった初回放映時、オープニングの海の青がときどき防火水槽の水みたいな色になってて大いに凹んだこともあります。ブルーレイ版はそれらを悉く修正している模様です。ありがたい。買ってよかった。

 

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またナディアに会いたい気もするが

このように、私にとってナディアはアニメキャリア形成の一番最初に所有欲を芽生えさせた作品であり、永遠の恋人であり、永遠に恋人のままなのです。彼女の特性をほぼ受け継いだ響ちゃんに恋をするのも仕方のないことだったのです。

 

……リスペクトのあまり過剰な文字数を費やしてしまいました。思い出の中で少なからず美化された部分はあるかと思いますが、ナディアはついに完結するらしいあのエヴァンゲリオンシリーズの原型であることは間違いありません。

 

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しばらく席を立てなかった

今日はそれを確信した1日でもありました。素晴らしい映画でした。